奥 義久の映画鑑賞記
2022年12月
*私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)
2022/12/03「ブラックアダム」☆☆☆★
DCコミックの原作アンチ・ヒーロー破壊神ブラックアダムの映画化。5000年の眠りから覚めた破壊神ブラックアダムが、現代のカーンダックの悪党を倒していく。ルール無視のブラックアダムに世界の危機と招集されたスーパーヒーロー軍団も加わり三つ巴のバトルが始まる。ブラックアダム役を熱望していたドウェン・ジョンソンが主役を演じる。ヒーロー軍団のリーダーをピアース・ブロスナンが演じている。理屈抜きに楽しめるアクション映画の新シリーズの誕生。次回作にはスーパーマンも登場予定で、今から楽しみだ。
「月の満ち欠け」☆☆☆★
直木賞受賞の佐藤正午の傑作小説の映画化。生まれ変わりをテー
マにした内容、思いが強ければ生まれ変わっても過去を覚えている。仕事も家庭も順調な小山内堅は愛する妻と娘を事故で失うが、小山内のもとに三角という青年が訪ねてくる。三角は小山内の娘瑠璃が自分の愛した女性瑠璃の生まれ変わりだと思うと告げる。小山内堅に大泉洋、小山内の妻に柴崎コウ、娘瑠璃と同名の女性を有村架純、その恋人三角に目黒蓮が扮している。上質の邦画だが同時期にさらに出来の良い作品「ある男」と重なったのは不運としかいいようがない。邦画ファンにはぜひ2作品を見比べて欲しい。
2022/12/15「あのこと」☆☆☆☆☆
60年代に中絶が禁止だったフランスを舞台に大学生アンヌが学位と未来のために一人で悩み決断する姿を描いている。本年のヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を獲得。全編アンヌの目線で描いた本作は観ているものが、没入する臨場感がある。主人公アンヌを演じたアナマリア・ヴァルトロメイは本作でセザール賞を受賞。今年のベスト5に入る映画である。
2022/12/16「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」☆☆☆☆☆
巨匠ジェームス・キャメロン監督伝説的名作「アバター」の13年ぶり続編。神秘の星パンドラで先住民ナヴィの女性と結婚し家族と平和に暮らしていたジェイクは、再び人類が現われ神聖な森を追われる。海の部族の元へ身を寄せたジェイクたてだが、そこの平和も束の間だった。海辺の美しい風景と動物たちの映像美で綴る史上最高のエンターテインメント作品。現実の生活の「あのこと」と空想の世界の「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」はともに☆☆☆☆☆だが、両極に位置する名作といえる。サム・ワシントン、シガーニ・ウィーバーらの熱演も見逃せない。
2022/12/20「Dr.コトー診療所」☆☆☆★
シーズン1平均視聴率19%、シーズン2平均視聴率22,4%の驚異の高視聴率TVドラマ「Dr.コトー診療所」が16年ぶりに映画となって帰ってきた。コトー先生が島に来てから19年。コトーを支えた看護師彩佳はプライベートでもコトーのパートナーとなり、妊娠7ヶ月。島の住民は高齢化が進み、診療所も統合化の話がある。そんな中で島に近づいてくる台風は、次々と急患が運び込まれてくる。人の命の尊さを描いた傑作ヒューマンドラマは素晴らしい映画になって戻って来た。Dr.コトーの吉岡秀隆、彩佳の柴崎コウをはじめ時任三郎、大塚寧々、大森南朋、朝加真由美、泉谷しげる、筧利夫、小林薫のレギュラー陣が再結集。引退した剛利少年役の富岡涼も本作限りの復帰。そして懐かしい中島みゆきの名曲「銀の龍の背に乗って」が聞けるのも嬉しい。
2022/12/23「フラッグ・デイ」☆☆☆★
アカデミー賞2度に輝く名優ショーン・ペンの監督・主演最新作。
本作はショーン・ペンが15年の構想をかけ自ら監督をした真実の物語である。親子の愛情をテーマにした本作で娘役に愛娘ディラン・ペンを抜擢した。大好きな父親が犯罪者と知った時の反抗心、そしてその父を再び愛することが出来るようになっていく親子の絆は美しく観るものに感動を与える作品に仕上がっているのは、見事な親子共演の成功である。
2022/12/24「ラーゲリより愛を込めて」☆☆☆☆★
第2次世界大戦後のシベリアの収容所、山本幡男はダモイ(帰国)を信じて極寒の零下40度の寒さの中で強制労働に耐えていた。原作は実話を基に書かれた「収容所から来た遺書」を「64・ロクヨン」の名匠瀬々敬久が監督した。山本役は二宮和也、もともと演技力には定評があったが素晴らしい好演をみせている。日本で帰りを待つ妻役に北川景子、収容所の同僚たちで山本の遺書を頭の中に(記憶として)持ち帰る4人には、松坂桃李、中島健人、桐谷健太、安田顕が扮している。久々に泣いてしまった映画です。
「ホイットニー・ヒューストン」☆☆☆☆
グラミー賞6回の受賞をはじめ、400を超える受賞歴の女性アーチストとしてギネス記録に掲載され、7曲連続の全米チャート1位の記録はビートルズを超えたホイットニー・ヒューストン。そのデビューから若くしてなくなるまでの半生を「ボヘミアン・ラプソディ」の脚本家により。映画化された。ホイットニー役をナオミ・アッキーが熱演。「ボヘミアン・ラプソディ」の迫力にはかなわないが、音楽映画の傑作が新たに誕生した。