2023年2月26日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
最近の講演について 2023 年2月20日
私が顧問を務める日本インテリジェンス協会(BIS)の32周年記念研究会での講演骨子をお届けいたします。
下記諸点を強調致しました。
1. 原発稼働期間の40年から60年への延長を5名中1名の委員の反対にもかかわらず決定したことは残念であり、原子力に関しては市民社会の直観の方が専門家の知見よりも信頼に値することがまたもや立証された。
2. 福島事故の放射性汚染水の海洋放出は海洋法条約85条違反の可能性があることが判明し、日本が排他的経済水域を失うことになる可能性が表面化したこともあり、その可能性はないと思われる。
3. 福島事故及びウクライナ危機の教訓(原発の危険性)を無視する原発回帰は不道徳であり、東京五輪が放射能の危険性を全く無視した責任は重大である。
4.世界が求める脱原発及び核廃絶の進展を図るには新たなアプローチが不可欠であり、この見地から脱原発を核廃絶に不可欠の前提条件として新たに位置付けることが望まれる。
5. 権力とは無縁の市民社会の支えとなるのは哲学であり、
特に日本の情勢との関連で注目され出しているのは下記の哲学の教えの三原則である。
イ 地球と人類を守りぬいてきた天地の摂理
ロ 不道徳の永続を許さない歴史の法則
ハ 悪事を暴き天罰を下す老子の天網(天網恢恢疎にして漏らさず)
6.日本一新、世界一新の見地から新たな文明を求める動きが見られる中で、国連倫理サミットの意義が新たな視点から注目される。特に旧知のフランスの経済学者ジャック・アタリ氏の別添の見解は、今後の世界は利己主義と利他主義の対立となると予見している。
この対立の核心は感性の有無であり、国連倫理サミットの三位一体の目標
1. 地球倫理の確立、
2.父性文明から母性文明への転換
3.核廃絶
の中で母性文明はこのアタリ氏の見解に沿うものとして強力な支援が得られたと思われる。
最近の天災の激甚化は地震、森林火災等々自然からの悲鳴に聞こえます。市民社会からも日本の平和国家の基盤の短期日内での喪失を嘆く悲鳴と合致するが如くです。
皆様の御理解と御支援をお願い申し上げます。