2023年3月12日
今週の所感
村田光平(元駐スイス大使)
3月9日 岸田総理宛メッセージ及び映画「放送不可能」
脱原発を核廃絶の前提条件とするようにとの提言、福島の悲劇の
教訓を人類に拡げることなく日本の原発回帰に矮小化したことに
対する批判、哲学のお教えの三原則(天地の摂理・歴史の法則・老子の天網)の発信を始め、不道徳の永続は許されないことを世界に訴えている背景、世界の危機の真因は三カン(倫理観、責任感、正義感)の欠如であることなどを敢えて率直に指摘しております。
御理解と御支援をお願い申し上げます。
岸田文雄内閣総理大臣殿
令和5年3月9日
村田光平
(元駐スイス大使)
拝啓
ご健勝のことと拝察申し上げます。
ロシアの支配下にあるウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所がロシアのミサイル 攻撃を受け、電力供給が停止した旨ウクライナ国営エネルギー企業エネルゴアトムが 9日、発表しました。
露軍による原発の軍事拠点化を図る動きが改めて浮き彫りになりました。
12年前の福島事故発生直後に発令された原子力緊急事態宣言は今なお解除されておりません。
さらに、ウクライナ危機は原発は所在国に向けられた核ミサイルであることが示され、原発の危険性は否定できないものとなりました。こうした状況下での原発回帰の政策は内外で嘲笑を招くことが深刻に危惧されております。
福島の悲劇は本来人類に文明の見直しをも迫るべき歴史的大惨事であったにも拘わらず東京五輪の開催などにより今や原発回帰の動きまでを生み矮小化されております。
こうした現実は本来核廃絶を歴史的使命とみなしてきた日本の名誉にかかわる大問題です。
ウクライナ危機が立証した原発の危険性を勘案して脱原発を核廃絶の前提条件とすることを求める好機到来と思われます。
核兵器の使用の可能性が現実に危惧されるに至った状況下でマンネリに陥っている脱原発と核廃絶の動きを新たに活性化することは
日本の責務であると確信いたします。
田原総一郎氏と小泉純一郎元総理の対談を映画にまとめた「放送不可能」がこのほど封切りとなりました。
同映画の公式Twitter: https://twitter.com/housou_fukanou に
本9日掲載されたコメントをお届けいたします。
同コメントでは特に哲学の教えの三原則(天地の摂理・歴史の法則・老子の天網)の 発信を始めた背景に言及しております。
貴総理の御理解と御指導をお願い申し上げます。
敬具
https://twitter.com/housou_fukanou
小泉元総理が発出された最重要メッセージは「総理大臣が脱原発を決めれば必ず実現 できる」との確信の表明です。
したがって日本の最大の緊急課題は反原発総理の出現と言えます。
小泉元総理の最重視されるべきご指摘は「原発、全部ウソだった」です。国全体をだ ましたことに対して関係方面からの陳謝、釈明が求められます。
世界の危機の真因は倫理の欠如であると言えますが、その源泉はここにあると言えます。
福島事故を予見した拙著「原子力と日本病」(2002年発行)で
指摘した三カ ン(倫理観、責任感、正義感)の欠如です。権力を持たない市民社会は哲学に支えられております。
ウクライナ危機は原発が所在国に向けられた核ミサイルであることを立証し、原発の 危険性は反論の余地がなくなりました。
福島の悲劇は人類の教訓にされるべきです。
しかしながら現実には日本の再稼働問題をめぐる論議に矮小化されております。こうした現実は日本の名誉にかかわる大問題です。
人力の限界を悟り、市民社会を代弁する立場から哲学のお教えの
三原則(天地 の摂理・歴史の法則・老子の天網)の発信を始め、
不道徳の永続は許されないことを
世界に訴えている背景です。
放送不可能」全国上映は日本の脱原発を強力に推進することになると確信いたします。