BIS論壇 No.412『グローバルサウスとアフリカ』中川十郎
バイデン政権が主導する「民主主義サミット」が3月29日始まった。約120カ国・地域の指導者を招き、オンラインで2日間にわたり開かれる。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、民主主義陣営の結束を促し、「専制主義」の中国やロシアに対抗することを狙いにしているという。2021年12月に開催以来、2回目だ。 米中対立の激化を背景に、バイデン政権は世界各地に於ける中国の影響力拡大を懸念しているとの見方もある。(3月30日朝日)
台湾は前回のサミットに続き招待され、デジタル発展部長のオードリー・タン部長(大臣)がビデオで参加。イスラエルやインドなども招待された。しかしトルコやハンガリーは招待されていない。今回、米国は「民主主義再生イニシアチブ」として6億9000万ドル(約900億円)の支出を発表した。今回初めてボスニア・へルチェゴビナ、リヒテンシュタイン、コートジボアール、ガンビア、モーリタニア、タンザニア、ホンジュラスの8カ国が
新たに招待された。グローバルサウス(南半球の発展途上国)への関心がとみに高まりつつある現状下、米国と中国のグローバルサウスでの対抗意識があらわになっている。
その中でもEU脱退後、アジア回帰を目指しつつあった英国はTPPへの加入が本3月31日TPP閣僚会議で認められる見込みとのことだ。TPP11が発足後、英国、中國、台湾、中米、南米のエクアドル、コスタリカ、ウルグアイなども加入を申請していたが、トップを切って英国の加入が認められた。英国の加入でアジア、米州が主体であったTPPは欧州との経済関係がさらに緊密になるものと思われる。
英国の加入でTPPの世界GDPに占めるシェアーは12%から15%に拡大。英国のアジアとの経済、貿易関係がさらに強化されるだろう。
一方、グローバルサウスとして躍進が期待されるアフリカは、21世紀前半の中国の世紀、
後半のインドの世紀に続き、22世紀に躍進が期待されている。
3月30日ZOOMで開催されたアジア経済研究所、JETROアフリカ専門家のセミナーによれば、躍進しつつあるアフリカの人口は今世紀末には世界人口の約半分の50億人となり、「アフリカの世紀」が訪れる。日本としてもアフリカに注力すべきだと力説していた。
アフリカでは耕地面積も拡大しつつあり、それとともに人口も増大。南ア、ナイジエリアなどの企業がクロスボーダーの活躍をしており、海外売り上げ比率が高まりつつある。
人口減少社会を迎える日本は、米中デカプリングの現状下、人口、鉱物、エネルギー資源豊富な22世紀の大国に発展するアフリカとの経済関係強化に注力すべきだと講師各位が力説していた。少子高齢化で人口が減少する日本は今世紀末には人口5000万人と中規模国家となる。人口豊富なアフリカからの移民受け入れ、人材活用が肝心だとのアフリカ専門家の指摘は傾聴に値する卓見で、得るところ大なるものがあった、