今週のお薦め作品 5月12日公開「TAR ター」
物語は世界最高峰のオーケストラ・ベルリンフィルハーモニーで初の女性指揮者となったリディア・ターの絶頂期から崩れ落ちていく姿を描いている。ターを演じた名優ケイト・ブランシェットはキャリア最高の演技を見せている。ケイトの怪演だけでなく物語の展開も含めて高品質の作品であり、本年度の私のナンバー1作品である。
本作は作品賞・監督賞・主演女優賞・脚本賞・撮影賞・編集賞の
第95回アカデミー賞6部門ノミネート作品である。不幸にして「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(以下エブエブ)の勢いに負けてしまった。6部門中5部門はエブエブの受賞となった。アカデミー賞があのようなハチャメチャ作品が受賞する時代になったのは残念としかいいようがない。本来なら作品賞の本命は「フェイブルマン」、前評判が高かったが興行的な失敗が敗因と言われている。主演女優賞はゴールデングローブ賞を獲得した本作のケイト・ブランシェットで間違いないと思えたが、第92回の「パラサイト 半地下の家族」以来のアジアンブームがエブエブの爆勝ちにつながり、結主演女優賞もミシェル・ヨーが後押しされたて初受賞となった。勿論、ミシエルの演技も素晴らしかったが、ケイトの演技は過去のアカデミー賞受賞作「ブルージャスミン」をしのぐ最高の演技をみせていただけに、本当に残念な結果と映画鑑賞後に改めて痛感した。本文を読まれた方にはぜひ本作品を鑑賞していただきたい。