BIS論壇 No.415『印TN州と米コロンビア大学』中川十郎
さる5月29日、くしくも同じ日に躍進するインド・タミルナド州(帝国ホテル)と、筆者がかってVisiting Scholarとして研究留学した米コロンビア・ビジネススクール 日本経済経営研究所年次研究会(大手町フイナンシアルセンター)が東京で開催された。
両講演会とも非常に有益で得るところ大なるものあり、ご参考まで下記要約報告したい。
「印タミルナド州は1兆米ドル(140兆円ー日本の4分のⅠ)の州生産規模を目指す」
クリシユナン州商工次官によるとタミルナド州(TN)は投資環境抜群でInvest, Innovate, Create(投資、革新、創造)を合言葉に都市化、電力、インフラ、エコシステム構築に注力。 太陽光発電、エアーコンジショナー、I-Phone, 電気自動車製造に注力。国連SDGs
(持続可能な開発目標)に従い、特に女性の活躍を支援する。世界有力企業500社中、130社が州に進出。インドの代表的多国籍企業のマヒンドラ、ADANIグループも活躍。医療分野にも力を入れている。州内に70の教育機関を有し、人財育成に積極的だ。
医療関係で全インドの13.2%、農産物食品生産 12%、資本財生産では全インドの20%、電子機器で⒑%のシェアを占め日本がポストチャイナとして注力すべきインドの有力州だ。
日系企業では双日が工業団地を運営。ほかに三井物産、住友商事、ヤマハ、NEC, 東芝、日立、三菱電機、NEC、ダイセル、パソナ などが進出、活躍している。
中国のBYDや韓国の現代自動車は電気自動車の製造に積極的で大型投資を行っている。
州のチェンナイ港は地の利が良く、アジア、アフリカ、南米などへのアクセスも良く輸出入で活発な動きをしている。Staliin州首相は、日本とインドの長年にわたる経済、文化交流に鑑み、日印関係強化のモデル州になりたい。24年1月のGlobal Investment Meetingにぜひ日本からも参加してほしいと勧誘していた。日本のインド関係強化のため、TN州は重要拠点となるとの印象を強く受けた。
「コロンビア大学ビジネススクールへの日本留学生24名に増加」
コロナ禍で低迷していた日本からの留学生が本年は24名に増加。日米教育交流がさらに活発になりつつある。講演会では「現代の日本に必要なイノベーション~DX」、「サステイナブルシテイ」「大学教育改革」と題し、河野太郎 デジタル大臣、メアリー・ボイス機械工学教授、「大学教育と技術革新」ウルキオラ社会科学大学院長、藤井輝夫 東京大学総長、「持続可能なスマートシテイ計画」野田由美子・ヴェオリア・ジャパン会長、ハケ建築学科大学院長、森 浩生 森ビル副社長などが熱気のこもる講演をされ、きわめて有益だった。
久しぶりに商社マン、学生時代に戻った気分で、知的刺激を受け、感動に満ちた一日であった。コロンビア大学は毎年5月に東京で公開講座を行っており、来年はぜひBIS会員も
多数参加し、知的交流をしていただきたいと念願する次第である。 (23年 6月5日)