┏━2023年4月━━
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┃■■ 国際資産税ニュース 第18号 ■■
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┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 辻・本郷 税理士法人
相続財産が海外にある場合どうすれば良いのか?
その際に、どんな点に気を付ければ良いのか?
相続人が非居住者だったら? 被相続人が外国籍だったら?
・・・そんな、海外資産を保有されている皆様の“疑問の解決”に
役立つ情報を提供していきます。
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有価証券1億円以上持っている方の意外な落とし穴
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今日は国外転出時課税について、知っているようで意外と忘れがちな
落とし穴について、ご紹介します。
<1.国外転出時課税とは?>
有価証券を時価1億円以上持っている日本居住者が、海外へ移住する場合、
所有している有価証券を出国時に売却したものとみなして、そのキャピタルゲインに対して譲渡所得税を課す税制を、国外転出時課税といいます。
実際には売却していないのに、含み益に対する税金だけ納めなければなりませんから、納税資金に困ってしまうケースが多いのではないでしょうか?
その対応策として、出国時に納めるべき税金を、その人が帰国するまで(最長10年)猶予する制度があります。ですから、いずれ帰国する予定の方は、この納税猶予制度を使うことが多いようです。
さて、この国外転出時課税ですが、本人が海外へ移り住むケース以外にも、相続と贈与の場面で対象となるケースがあります。
相続の場合は、有価証券を時価1億円以上持っている方が亡くなり、この方の
相続人のなかに海外居住者がいるケースです。海外居住の相続人が相続する有価証券の額ではなく、あくまで被相続人が持っていた有価証券の額が1億円以上かどうか、が制度の対象となる判断基準です。
贈与の場合は、有価証券を時価1億円以上持っている方が海外居住者に対して
有価証券を贈与するケースです。海外居住の受贈者が贈与を受ける有価証券の額ではなく、あくまで贈与者が持っている有価証券の額が1億円以上かどうか、が制度の対象となる判断基準です。
<2.相続で国外転出時課税の対象となったら>
有価証券を時価1億円以上所有する日本居住の父が亡くなり、相続人のうち、長男がアメリカ在住という設定でご説明しましょう。
この父のケースではまさに国外転出時課税の対象となりますので、相続開始後4ヶ月以内という準確定申告の期限がターゲットとなってきます。
もし、準確定申告の期限までに遺産分割協議が成立し、海外居住の長男が有価証券を一切相続しないことが決まれば、こうした国外転出時課税の問題は免れますが、相続開始後わずか4ヶ月で相続人全員の意見がまとまり、遺産分割協議を成立させるというのは、なかなか時間的に難しいものです。
遺産分割協議がまとまっていない場合には、父の有する有価証券のうち、長男の法定相続分を相続開始時点で売却したものとみなし、キャピタルゲインが出ている場合には、準確定申告のなかで譲渡所得を計算し、申告する必要があります。
また、実際には売却していないわけですから、納税資金が手元にありません。
そのために納税猶予を受けるとすれば、担保提供などそのための手続きにも時間がかかります。
このように、相続で国外転出時課税の対象となる相続人のスケジュールは、かなり忙しく厳しいものなのです。
<3.有価証券1億円以上お持ちの方の対応策>
ご自身がどれくらい有価証券をお持ちか、相続人が海外に住んでいる、こういったことを分かっているつもりでも、いざ相続のときにこんな問題が生じるということを、見落としている方は結構いらっしゃいます。
では、有価証券1億円以上お持ちの方はどうすればよいのか?
ずばり、『遺言を書いておく』ことがとっておきの対応策になります。遺言のなかで例えば、「有価証券は(日本に居住している)妻と長女に2分の1ずつ相続させる」と書いておくのです。つまり、海外居住の長男には有価証券を相続させない、ということを明示しておきます。そうすれば、準確定申告の際には、海外居住の長男が有価証券を相続しないことが明らかですから、国外転出時課税の対象から外れることができるのです。
どうしても長男にも有価証券を渡したい場合は、長男が国内に居住している間に贈与する、などの方法も考えられます。
とにかく、生前にできる対応策は、できる限りとっておきたいものです。
ご相談などがありましたら、辻・本郷 税理士法人 までお問い合わせください。
弊社の海外拠点事務所と連携して、ご対応いたします。
(担当:井口 麻里子)
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