奥 義久の映画鑑賞記
2023年8月
*私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)
2023/08/01「ミッション:インポッシブル デッドレコニング1」☆☆☆☆★
MI映画版登場が1996年、本作はシリーズ7作目になります。トム・クルーズ扮するイーサン・ハントも年を取ったなと思うアップの顔もありますが、物語で見せるアクションシーンは本当に若々しいです。今回の任務は世界を脅かす鍵の存在があり、二つの鍵を奪い鍵の目的を掴むことからスタートします。その中で新しい女性グレースが登場しますが、仲間を失う事もあります。今回の見せ場は、市街地でのカーチェイス、断崖絶壁からのジャンプ、激走する列車上での格闘等々、見せ場タップリのMI最新作が堪能出来ます。本作はシリーズ初めての2部作。世界を救うために鍵を得たハントたちの活躍が楽しみだが、第5作から仲間になったイルサが敵に倒される事で、大好きなレベッカ・ファーガソンの華麗なアクションが見納めなのはとても寂しい思いがする。
2023/08/03「裸足になって」☆☆☆★
北アフリカのイスラム国家アルジェリアを舞台に、抑圧された社会の中で力強く生きる女性たちを描いている。主人公のフーリアは貧しくともバレエダンサーになる夢を見ている。ある日男に会談から突き落とされ大けがをおおい声を失う。抜け殻同然のフーリアはリハビリ施設で出会った仲間と踊ることで情熱を取り戻していく。フーリアを演じるアルジェリアの期待の新星リナ・クードリの熱演が素晴らしい。
2023/08/06「トランスフォーマー ビースト覚醒」☆☆☆★
大ヒットシリーズ「トランスフォーマー」の新シリーズ。舞台設定はマイケル・ベイ監督のシリーズ2000年代の6年前1994年のニューヨーク。星を食べエネルギー源とする超巨大トランスフォーマーのユニクロンが地球をターゲットにした。ユニクロンに滅ぼされ、地球に隠れ住んでいたゴリラ、チーター等の動物型トランスフォーマーと車型のオプティマスプライムがユニクロンに立ち向かうために共闘する。本作プロデュースはスティーブン・スピルバーグとマイケル・ベイの二大巨匠。トランスフォーマーに協力する青年ノア役にはアンソニー・ラモスが抜擢された。ファミリー向けエンターテインメント大作である。
2023/08/08「インスペクション ここで生きる」☆☆☆★
ゲイであることで母と疎遠になりホームレス生活をしていた青年フレンチは生きる為に海兵隊に志願する。海兵隊での過酷な訓練で成長した修了式に母と再会する。新鋭監督エレガンス・ブラットンの実話を自身で映画化。主演のジェレミー・ポープは本作でゴールデングローブ賞の主演男優賞にノミネートされた。骨太の見ごたえのあるドラマになっている。
2023/08/12「リボルバー・リリー」☆☆☆
第19回大藪春彦賞を受賞した長浦京原作の小説を「世界の中心で、愛をさけぶ」のヒットメーカーの行定勲監督が初の本格アクション映画に挑戦した話題作。女殺し屋・小曾根百合がかつての恋人の忘れ形見の少年を陸軍の手から救おうとリボルバーを片手に奮闘する。主人公に綾瀬はるか、リリーを助ける弁護士に長谷川博己、少年役にジャニーズJr.の羽村仁成が映画初出演、豊川悦司、野村萬斎、阿部サダヲ、橋爪功、石橋蓮司らが脇を固めている。演技陣は豪華だが、アクションシーンが期待外れの出来ばえだった。
2023/08/16「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」☆☆☆★
エディット・ピアフ、グレース・ケリー、世紀の女性を描くオリヴィエ・ダアン監督の3部作の最後を飾るのは政治家シモーヌ・ヴェイユの物語。1979年女性初の欧州議会議長に選出され、女性の権利委員会を立ち上げた。女性だけでなく移民、エイズ患者、囚人など弱気ものたちの人権確立のため闘った。この強い信念はアウシュビッツを生き抜いた体験に基づいている。シモーヌを演じたエルザ・ジルベルスタインは8kg増量して威厳あるシモーヌ像を作り上げた。映画の中でフラッシュバックされるアウシュビッツ時代の若きシモーヌはレベッカ・マルデールが演じている。2022年のフランス年間興行成績NO1の感動の物語である。
2023/08/20「アウシュビッツの生還者」☆☆☆★
アウシュビッツから生還した父の実話を「レインマン」の名匠バリー・レヴィンソンが映画化。アウシュビッツから生還したハリー・ハフトはアメリカに渡りボクサーとして活躍する。有名になることで生き別れた恋人レアを探す事だった。ハリーは生きるためにアウシュビッツの収容所でナチスの主催する賭けボクシングで同胞を倒し生き抜いてきた。アウシュビッツのシーンは「シモーヌ」同様にフラッシュバックで描いている。引退して他の女性と結婚した14年後にハリーはレアの生存を知る事になる。ハリーを演じるには「インフェルノ」で、トム・ハンクスの敵役で存在感を見せたベン・フォスター、共演はヴィッキー・クリープス、ビリー・マグヌッセン、ピーター・サースガード、ダニー・デヴィート等の演技派が集結。そして、なによりも嬉しいのは80を過ぎたベテラン監督の健在ぶりだ。
2023/08/21「君たちはどう生きるか」☆☆☆★
宮崎駿監督が高齢を理由に引退したが、自身の自伝的ファンタジーの制作のため復活。2016年7月の企画書には75歳の年よりが映画製作に取り組むには完成まで3年かかるとあったが、実際には7年がかりの完成となった。物語は少年真人が母の想い出を求めて死の世界に向かう、冒険ファンタジーである。少しわかりにくい設定で子供向けというより宮崎駿の世界を愛して大人になった人々への良き子供賛歌の作品といえる。
2023/08/27「エリザベート1878」☆☆☆
オーストリアの伝説的皇妃エリザベートの晩年を自由奔放に描いた作品。16歳でオーストリア皇帝に見初められ、美貌ゆえにお飾り的皇妃として過ごしていたが、40歳の誕生日に老いに向き合い自由に生きることを選択する。エリザベートを演じるのは「アウシュビッツの生還者」で主人公を支える女性を演じたヴィッキー・クリープスは一転して自由を求める大胆な女性を演じている。ヴィッキーは本作でカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門の最優秀演技賞を受賞する。但し、映画自体は面白くない。
「ふたりのマエストロ」☆☆☆☆
父も息子もパリのクラシック音楽界で活躍する指揮者。父は輝かしいキャリアを誇り、息子は飛ぶ鳥を落とす勢いの気鋭の指揮者。それゆえに親子の愛情より、不協和音の対立関係にあった。ある日父フランソワ・デュマ―ルが念願としていた世界最高峰ミラノ・スカラ座の音楽監督就任の話が舞い込む。有頂天になるフランソワだが、翌日息子のドニ・デュマ―ルにスカラ座の総裁から呼び出しを受ける。父への依頼はデュマ―ル違いで息子へのオファーだった。親子の対立と再生をドラマのたて糸とし、大迫力の演奏シーンを横糸とした素晴らしい音楽ドラマが誕生した。アカデミー賞受賞作「コーダ あいのうた」の制作陣ならではの傑作で圧巻のエンディングシーンは見ものである。主人公ドニはイヴァン・アタルが演じている。
2023/08/28「MEG ザ・モンスターズ2」☆☆☆
海洋パニックのヒット作の第2弾。絶滅した巨大ザメMEGが人間を襲う。ジェイソン・ステイサム扮する潜水レスキューのプロ、ジョナスが仲間とともにMEGに戦いを挑む。吹替版も製作されているので、家族で楽しめる海洋アクション映画になっている。