奥 義久の映画鑑賞記
2023年9月
*私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)
2023/09/06「春に散る」☆☆☆★
「深海特急」のノンフィクション作家・沢木耕太郎が朝日新聞に連載した小説を「64」「糸」の名匠・瀬々敬久監督が映画化した。
キャストも佐藤浩市、横浜流星、橋本環奈、片岡鶴太郎、哀川翔、窪田正孝、山口智子という豪華メンバーが集結した。佐藤演じる広岡はボクサー引退後アメリカで事業家として成功したが40年ぶりに帰国する。そこで偶然出会った元ボクサー黒木(横浜)と世界チャンピオンを目指していく。骨太のドラマの傑作が生まれた。
2023/09/09「ドラキュラ デメテル号最期の航海」☆☆☆
ブラム・ストーカー原作「吸血鬼ドラキュラ」の第7章を基に映画化。ルーマニアの港町から英国行のデメテル号に50個の木箱が詰まれ、その中の一つには吸血鬼が入っていた。吸血鬼を発見した船長たちは英国に着かせず、船ごと吸血鬼を抹殺しようと考える。
有名な役者の出演もなく、目新しい題材でもないため話題にもならず予告編上映も見なかったが、ドラキュラの英国入国エピソードに興味があり鑑賞をした。B級作品だが暇つぶしには悪くない。
「ホーンテッドマンション」☆☆☆★
創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーがディズニーランドの人気アトラクション“ホーンテッドマンション”を実写映画化。物語はニューオーリンズの古い洋館に引越した親子に降りかかる怪奇現象に心霊エキスパート4人が立ち向かう。洋館に引越したシングルマザー役にロザリオ・ドーソン、4人の心霊エキスパートは、オーウェン・ウィルソン、ダニー・デヴィート、ラキーヌ・スタンフィールド、ティファニー・ハディッシュが扮している。ディズニー作品らしくノンストップ・アトラクション・ムービーが楽しめる。
2023/09/06「春に散る」☆☆☆★
「深海特急」のノンフィクション作家・沢木耕太郎が朝日新聞に連載した小説を「64」「糸」の名匠・瀬々敬久監督が映画化した。
キャストも佐藤浩市、横浜流星、橋本環奈、片岡鶴太郎、哀川翔、窪田正孝、山口智子という豪華メンバーが集結した。佐藤演じる広岡はボクサー引退後アメリカで事業家として成功したが40年ぶりに帰国する。そこで偶然出会った元ボクサー黒木(横浜)と世界チャンピオンを目指していく。骨太のドラマの傑作が生まれた。
2023/09/11「パターン」☆☆☆★
ボリウッド映画界の王と言われたシャー・ルク・カーンが4年ぶりにスクリーンに戻ってきたということで、大ヒットした作品。シャーが演じるのはインド諜報機関所属のエージェント。かつての同僚ジム率いるテロ集団と闘う。ドバイ、アフガニスタン、トルコ、イタリア、フランスなど世界各地で撮影を行ったスケールの大きいスパイ映画となった。ヒロインのディーピーカー・パードゥコーンの魅力的なダンスも素晴らしい。
2023/09/19「ダンサー イン Paris」☆☆☆☆★
パリ・オペラ座の現役実力派ダンサーのマリオン・バルボーを主演に迎えセドリック・クラビッシュ監督が本格的ダンス映画を製作した。オペラ座のダンサー・エリーゼは舞台での着地失敗により足首を痛めてしまう。医師から踊れなくなる可能性を告げられ、失意のエリーゼは友人とともに料理アシスタントとしてブルターニュに向かう。そこでエリーゼは新たなダンスと巡り合う。挫折したダンサーの再生物語だが、現役ダンサーが主人公を演じることで、スタントなしの迫力あるダンスシーンが撮れた。奇才の振付師ホフェッシュ・シェクターとそのダンスチームが本人役で出演している。冒頭のバレエシーンとラストのダンスシーンのパフォーマンスは迫力満点で必見の価値がある。
2023/09/21「私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター」☆☆☆★
姉アリスは有名な舞台女優、弟ルイは詩人。二人は芸術家という共通項があるにも関わらずお互いに憎みあっていた。そんな二人の両親が交通事故に巻き込まれ危篤状態になる。姉弟は心ならずとも再会することになる。「そして僕は恋をする」のアルノー・デプレシャン監督が「エディット・ピアフ~愛の賛歌~」のマリオン・コティヤールと組んで史上最高のきょうだい喧嘩を作りあげた。
2023/09/22「ジョン・ウィック:コンスクエンス」☆☆☆☆★
裏社会の掟を破り、地下組織を牛耳る主席連合から逃れていた伝説の殺し屋ジョン・ウィックが自由になるため立ち上がる。ジョンを追い詰める主席連合の幹部グラモン侯爵と旧友ながら最高の刺客ケイン、ジョンを守ろうとする大阪コンチネンタルの支配人島津。ジョンの賞金を狙う賞金稼ぎトラッカー。それぞれの思いが交差して最後のクライマックスに進んでいく。ジョンを演じるキアヌ・リーヴス、盲目の刺客ケインをドニー・イェン、旧友島津に真田広之、キアヌが二人のアクション映画のレジェンドと組んで素晴らしいアクションを見せる。シリーズ最高傑作。ローレンス・フィッシュバーン、イアン・マクシェーンのレギュラー陣も健在。
2023/09/23「名探偵ポアロ ベネチアの亡霊」☆☆☆★
アガサ・クリスティ原作のポアロ・シリーズをケネス・ブラナー監督・主演で描く映画化第3弾。ベネチアで隠遁生活を送っていたポアロは霊能力者のトリックを見破るために降霊会に参加する。そこで招待客が殺害されポアロ自身も命を狙われる。今作は美しい水上都市ベネチアが舞台だが、ほとんどのシーンが薄暗い屋敷の中でホラー調の映画である。「オリエント急行殺人事件」のスペクタル感、「ナイル殺人事件」の風光明媚な舞台がないのは寂しい感じがする。
「グランツーリスモ」☆☆☆
ゲームのチャンピオンを本物のプロレーサーにしようとした奇想天外なプロジェクトの実話を映画化。GTアカデミーは2008年から2016年まで世界中の若者の夢を実現するために作られた育成機関。本作はこの無謀なプロジェクトの立案者とコーチ、トッププレイヤーが不可能を可能にした物語である。立案者にオーランド・ブルーム、コーチにデヴィッド・ハーパーが扮している。レースの迫力はあるが、その過程の物語が今一つ引き込まれないのは、シナリオの問題か?主人公を演じたアーチー・マデクウイの演技力?
2023/09/25「コンフィデンシャル 国際共助捜査」☆☆☆
「愛の不時着」の人気スター・ヒョンビン主演のポリスアクション第2弾。今回は北からの逃亡犯と消えた10億ドルを探しに来た北のエリート捜査官リムが再び南の捜査官カンとタッグを組む。これのFBIがからみ黒幕と対決する。ヒョンビンの相棒役にユ・ヘジン、FBI捜査官にダニエル・ヘニー、リムを慕うカンの義妹にイム・ユナが扮している。
2023/09/29「沈黙の艦隊」☆☆☆★
かわぐちかいじ原作、第14回講談社漫画賞受賞(1990年)作品の実写化。1988年から96年まで週刊誌に連載され、核問題を取り上げた問題作であった。当時は米ソの冷戦時代であったが、なぜ今の時代に映画化かと考えるかもしれない。現代は核燃料の汚染をはじめ、複数国の核爆弾保有等があり、「沈黙の艦隊」で館長海江田四郎の命を賭けた核廃絶行動は今でこそ映画化にふさわしいと思える。映画の大部分が潜水艦内ということで、派手なアクションはないが見ごたえある作品に仕上がっている。本作では潜水艦シーバットに核ミサイルを積み込んだ海江田が独立国家“やまと”を宣言し、日本に向かうところで終わっている。原作での序章にすぎないがシリーズ化が出来るか否かは本作の評価にかかっていると思う。海江田を大沢たかお、たつなみの艦長深町に玉木宏、内閣官房長官に江口洋介、ニュースキャスター役(原作では男性)の上戸彩がこの作品の中心人物を演じている。
2023/09/30「HUNT ハント」☆☆☆★
1980年代の緊迫した南北関係を舞台に北朝鮮のスパイ探索と大統領暗殺計画の陰謀を描いたスパイアクション大作。「イカゲーム」でスターになったイ・ジョンジェの初監督作品。カンヌ映画祭で高評価を得たスケールの大きい作品。母国韓国では新人監督賞を数々の映画祭で受賞している。物語は1980年代、安全企画部の海外班と国内班は情報漏洩から組織に潜む北のスパイがいると考えて、それぞれが独自に捜査をしていた。その中で大統領暗殺計画を知ることになる。海外班の班長パクに監督兼務のイ・ジョンジェ、国内班のキム班長にはチョン・ウソンが扮している。
「BAD LANDS」☆☆☆★
直木賞作家・黒川博行の「勁草」(けいそう)を原田眞人が映画化。社会の底辺で生きる姉弟が特殊詐欺を生きる糧として暮らしているが、思わぬ事から億を超える大金を手にする。口座から金を引き出すためにネリ(姉)は元やくざの曼陀羅を仲間に引き込む。
主人公ネリを演じるのは演技派・安藤サクラ。今回も渾身の演技を見せている。弟役の山田涼介の熱演も見逃せない。他に曼陀羅役の宇崎竜童、組織のボス役の生瀬勝久等の個性派が脇を固めている。
大阪のドヤ街で犯罪に加担して生きる世界を舞台に原田眞人X安藤サクラが日本映画に新たな傑作を誕生させた。