BIS論壇 No.420「G77、Global South、ASEANと関係強化を」
中川十郎(名古屋市立大学特任教授) 2023年9月25日
- G77プラス中國・国際会議
同会議がキューバの呼びかけで9月中旬キューバの首都ハバナで開催された。発展途上国を中心に134カ国が参加。内114カ国の首脳や閣僚らが参加。貧困、飢餓撲滅への対応を先進国に求めた。世界ではロシア、ウクライナ戦争もあり、食料、エネルギー価格の高騰、貧困、移民の増大など地政学的な大変動の時代に突入。科学技術を活用し、格差是正、パンデミックに際して途上国への支援強化を求め、欧米など先進国に対応を求めた。
G77会議は50周年を祝い、2014年6月ボリビアのサンタクルスで開催されて以来、9年ぶりにキューバ・ハバナで開催。特に発展途上国の貧困、飢餓撲滅への先進国の対応を求めた。16日発出された政治宣言では「不公正な国際秩序により、途上国の直面する課題は深刻で、欧米など先進国への対応」を強く求めた。この会議に参加の134カ国は実質、グローバルサウスを形成しており、今後G20をしのぐ無視できない大きな勢力を構成すると思われえる。わが日本としても、昨今の米中対立の先鋭化の下、岸田政権の米国一辺倒の外交政策を是正しG77と欧米の間に立ちG77プラス中國の利害調整に尽力すべきだ。
2)グローバルサウス
9月にインドニューデリで開催されたG20会議でインドのモデイ首相はグローバルサウスの盟主を目指し活躍した。キューバ・ハバナでのG77プラス中国会議には前述通り、134カ国が参加。米国がグローバル化の推進役を担うのをやめた(イアン・ブレマー・ニューズウイーク、9月19・26日号20ページ)こともあり、今後、インド、中国、ブラジル、インドネシア、トルコ、南アなどが力を発揮するものと思われる。
ブラジルは2.2億人の人口で輸出入とも20%台で中国が最大の貿易相手国だ。インドネシアは2.8億人、こちらも輸出入とも中國が最大だ。インドは14億人の人口で輸入中国17%で最大。輸出は米国18%で最大。南アフリカは輸出入とも中国が最大。中国は人口14億人、輸出米国17%、輸入は韓国9%で最大。かってGDPで世界第一の米国に肉薄した日本はほとんど影が薄く、衰退しつつあり、日本の存在感は希薄だ。
- ASEAN(東南アジア諸国連合)
主要経済統合体の欧州連合(EU)、北米自由貿易協定(NAFTA)、南米共同市場(MERCOSUR)と比較してもASEANは人口6.7億人、GDP3.3兆円、一人当たりGDP 約5000ドルと近年、東南アジアの発展の極になりつつある。日本からASEANへの投資(2021年)は総額3.2兆円、シンガポール61%、ベトナム13%、タイ⒑%。日本からの人の移動(2020年)は約100万人で、タイ(31%)、ベトナム(19%)、フィリッピン(13%)だ。今後発展するASEANとの関係強化が日本の経済戦略上も強く望まれる。