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        「古武士(もののふ) 第53話 食卓での会話」

        ________________________________________

        家族の団欒。

        前回もお話ししたように、フランス人は食べるのが早い。

        だがよく喋る。

        外国人が会話について行けないと退屈でしかも苦痛だ。

        パリの夕食は9時に始まり、終わるのが11時半から夜中の1時ごろまでだ。

        日本の様にさっさと食べてから飲みに行くような事はしない。

         

        道上家では当然道上の独り舞台。 食後は一人でしゃべっている。

        家族は聞いているだけだ。

        ボルドーの美味しい赤ワインを飲みながら 世を語る。

        家族は水を飲みながら聞く。

        話にはしばしば昔の中国が話題にあがる。

        戦前は五族協和という言葉があった。

        上海の東亜同文書院で教鞭をとっていた孫文も辛亥革命の際には

        五族協和を唱えていた。五族とは中国・朝鮮・満州・モンゴル・日本の五カ国。

        道上も同校で教鞭をとっていたためかいつも、日本はもっと中国、朝鮮と仲良くしなければいけない、と言っていた。

        確かにパリで韓国人に出会うとよく会釈をされた。

        ひょっとして韓国人に間違えられたのかもしれない。

        日本人は道ですれ違っても会釈をするものは少なかった。

        しかし道上は異常に思えるほど中国人、朝鮮人びいきであった。

        愚息が韓国へ行った際道上の知人の墓参りをさせられたことが幾度かある。

        道上曰く、中国人は三代四代にわたって友情を忘れない。

        きっと戦前の中国人又は華僑にそのような人が多かったのかもしれない。

         

        当時日本料理屋はパリに7軒あったが、お互いがお互いの批判をしていた。

        パリに100軒はあった中華料理屋は自分の店の定休日には

        他の店の案内図を店に貼っていた。

        しかも全店で合同仕入れをしていた。

        中国人は海外では助け合っていた。

        きっと同じ民族なのであろう。

        上海、広州、客家(ハッカ)、山東・・・。

        パリの中華街は治外法権だ。

        死人が出ない。百歳を超える人が相当数いる。

        フランスの批判はしない。

        チャイナタウンは別世界だ。

        客家の難民がマルセイユに到着後、系図の写しを持っていくと

        翌日にはお店を出させてもらえるという噂もあった。

        現在も国籍の無い中国人不法就労者はイタリアだけでも

        10万人を超えると言われている。

        フランスはもっと多いはずだ。

        道上曰く、 

        「中国には400の州があって160の民族がすんでいる大国だ」

        「日本には3種類の民族が元だが、その中には南方系もいれば白色系もいる」

        「ただ全部大陸からの移民では無く日本から大陸に流れた者も多い」

        「文化も大陸から来たものばかりではなく日本から流れたものも多い」

        中国の漢字の半分以上は日本当用漢字の逆輸入だ。

        「数千年にわたって多くの文化交流があった」

        中国の三種の神器である玉鉞(ぎょくえつ)、玉琮(ぎょくそう),玉璧(ぎょくへき)、が  中国に存在すると言う話は聞いたことがない。

        後に愚息が見た台湾の故宮に展示してある三種の神器は偽物に見えた。

        きっと台湾のどこかに隠しているのだろう。

        蒋介石が偽物を運ぶはずがない。

        ただビックリする事に中国の三種の神器は日本に多く存在する。

        愚息の最も尊敬する京都の人物が多く持っていらっしゃる。

         

         

        中国には易姓革命というものがあり、族誅(ぞくちゅう、中国における古代から続いた同じ名字の一族抹殺)から逃れるため多くの

        中国貴族が日本へ逃げてきた。

        その際三種の神器を持って来たと言われている。

        西晋に滅ぼされた呉の生き残りの多くも日本に逃げて来た、

        その際、彼等の着ていた服が呉服として日本でも流行った。

        易姓戦争を恐れた東洋の者達が日本の天皇家に名字を無くし、

        永遠と栄える事を願ったとされている。

        先ほどの三種の神器も日本は剣(つるぎ)鏡(かがみ)勾玉(まがたま)だが、

        中国での三種の神器は、玉鉞(軍事?斧)、玉琮(祭祀?つつ)、

        玉璧(財産?鏡?)、 おそらく 魂、霊体、肉体の三位一体の意味だと思われるが、

        真に道上が唱えた心、技、体である。

        玉鉞 玉璧などは中国でもなかなか採れないと言われている軟玉で出来ている。

        ましてや玉琮の玉はアジア広しと言えども日本の糸魚川でしか取れない。  

        いかに中国・朝鮮・日本は数千年前もの昔から交流があったか、

        日本人はもっと中国・朝鮮と仲良くすべきだとよく聞かされた。

        愚息は「このおっさん何を大きなことを言っているのか」といつも思っていた。

        世界を股にかけているつもりだろうが、1950年代当時としては納得がいく。

         

        現在も中国人、日本人、朝鮮人は本当にお互い嫌っているのだろうか。

        フィクションの多いメディア。

        そして歴史は作られる。

        アジアが仲良くしないで喜ぶ国はどこだろうか。

        決してロシアでは無い。

        道上はアメリカ人の勇敢さに敬服していた。

        ただアメリカ合衆国を支配している少数の人達のやり方に我慢がならなかった。

        日本の崇高なる文化を潰す意味がどこにあるのか。

         

        たかが200年の歴史しかない現代アメリカの言いなりになっていいのか

        日本の政治家は何も考えておらん。

        情報と言えば日本から毎月送られて来る文芸春秋のみ。

        なのになぜ世界の動きが分かるのか。

        自分の信じる道を一心不乱で生きる男には 

        史実の裏に隠されている事実が見えるのかもしれない。

         

        日本で政治的な事を話すと世間が笑う。

        しかしながら昔の日本人は国家経綸(こっかけいりん)をよく語った。

         

         

         

        【 道上 雄峰 】

        幼年時代フランス・ボルドーで育つ。

        当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。

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