BIS論壇 No.425『BYD電気自動車』中川十郎 23.11.10
11月9日、新宿・桜美林大学新キャンパスで開催の「日中ビジネスサロン」中日青年産学連合会共催講演会『BYDのイノベーションと世界戦略』に参加した。
講演者は劉 学亮 BYDアジア太平洋地域自動車販売事業部総経理、ビ―ワイデイージャパン代表取締役社長。同氏は東京国際大学で国際貿易学士号を取得。流暢な日本語で、素晴らしい講演であった。同社は中国EV(電気自動車)の代表格で破竹の勢いでEVを中国のみならず、世界中で展開。劉社長はアジア太平洋地域でBYDの運営管理と長期開発戦略を担当。 アジア太平洋地域に於けるBYDの発展に大きく貢献。日本のみならずシンガポール、オーストラリア、マレーシア、韓国、さらにはインドなどでも販売事務所、製造拠点を果敢に構築している。
2018年9月、安微省・合肥で開催の世界中小企業大会に鳩山由紀夫元首相のお供で参加した。会議後、合肥の独フォルクス・ワーゲンの合弁工場を見学した。工場の幹部が、中國は将来世界のEVの50%製造を目指すと豪語していた。今日、中国のEVは日本のみならず、世界への輸出、製造拠点を拡大しつつあることに感銘を受けた。
世界を席巻した日本自動車産業がEVに於いては中国に大きく出遅れている現状に危機感を抱いた。
1995年創業のBYDはバッテリ会社からEV企業へ転身。22年の売り上げは8.5兆円。時価総額15兆円。従業員60万人。モノレールなどの都市モビリテイ、太陽光など新エネルギ―事業、ITエレクトロニクスなどに創業20年で業容を多角化。スマートフォンでも世界で1割のシェア―を有している。日本においても北海道、福島、北九州など再生可能エネルギ、Backup電源としての蓄電池などでも実績がある由。
2010年にEVの販売、輸出を開始。今日、世界の6大陸、70カ国、400都市で公共交通バスから輸出を開始。バスのみならずTaxiでも1回の充電で600㎞の走破が可能になっているという。日本では京都を手始めに10台のTaxi,33台のバスの輸出から始まり、今日、25府県に153台のバスを輸出。乗用車の新車も販売を開始。自動車のみならず、空港、港湾、鉱山、農業用Fork Liftも電動車を輸出。とくに廃棄ガスが出ず、農産物に最適で農業関係者に感謝されているという。海外ではタイや特にインド、ネパールでもバスの評判がよく、今後環境保全や、SDGsの観点からも大いに販売が伸びる見込みとのことだ。
これに引き換え、ガソリン車で30%の世界シェアーに安住している日本はEVへの転換が遅れ、このままでは、EVでは完全に中国の後塵を拝しつつある。日本の自動車業界の奮起を切望する次第だ。 以上