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        BIS論壇No.429『日本の衰退』中川十郎2023年12月2日

        日本の2023年のGDP成長率は7~9月の実績から判断し、2%内外のマイナス成長に陥る由。日本の衰退に歯止めがかからない状態だ。不況と円安で輸入品をはじめとする物価が高騰し、GDPの6割近くを占める消費が振るわないのも原因の一つとの見方が強い。

        さらに悪いことに政界、官界、財界、学界ともに危機意識が薄く、真剣に対策を考えていないことだ。先日、東京でも有名な介護ホームを視察する機会があった。世界で最も急速に高齢化が進んでいる日本で、看護師不足で、高齢者を受け入れることができず、空きベッドが多くある実情を知り驚いた。厚生労働省を始め、政府の真剣な対応策がないことは問題だ。

        2010年に中国にGDPで抜かれ、3位の地位を保ってきた日本がついにこのほどドイツに抜かれGDP第4位に後退。さらに2026年前後にはインドにも抜かれ、世界第5位に落ち込むとの予測が残念ながら現実味を帯びつつある。

        日本は公私ともに真剣に対策を講じなければ、日本の衰退は留まる事がないだろう。

        この機会に政官財学とも危機意識をもって、国家100年の大計の下、抜本的な対策を講ずるべきだ。日本の危機を喧伝している元国税調査官・大村大次郎氏の『日本の絶望ランキング集』(中公新書ラクレ、2023年7月刊)をもとに以下見ていきたい。

         

        水洗トイレも電柱も「途上国並み」。精神科ベッド数は断トツ世界一。「韓国より低い」賃金、労働生産性、進学率。こども、若者の自殺大国。外国旅行が「高い買い物」。社会インフラは途上国並み。病院は多すぎ、医者は少なすぎ、いびつな医療界。なぜ日本経済は中国に喰われたのか?。先進国で最悪の貧富の格差、しかし世界最大の債権国。少子高齢化は起こるべくして起こったなど、実情は下記だ。

        日本は世界有数の公共事業大国。でも世界有数の災害死者数。東京首都圏の道路もまともに整備していない。それに地方の下水普及率は途上国以下だ。「水洗トイレ」がない家がいまだに多い。街中に電柱があるのは先進国で日本だけだ。にも拘わらず電気料金は高い。(インドでもニュデリ―などは電注はなく、電線はすべて地中に埋めてある)。日本では狭い道に電柱がありバスなど輸送車がすれ違うのにひやひやしている。これは電柱製造会社と政治の利権癒着があるとの説がある。米国に要請された630兆円の巨額公共事業費はどこへ消えたのか。有力な国会議員が地元に公共事業を誘致した為だ。

        日本の国家予算で一番多いのは医療費だ。日本は病床の数は世界一多い。だが集中治療室は異常に少ない。日本は医者の数が異常に少ない。新卒の医者数は先進国で最低だ。日本では民間病院が儲かり、開業医の世襲化が進んでいる。

        寝たきり老人の数は世界一。精神科ベッド数がダントツ世界一位。「精神科病院が儲かるシステム」がある。以下日本の問題点については割愛するが、憂国の士は上記『日本の絶望ランキング集』をぜひ紐解いて頂き、日本の問題解決に尽力願いたいものだ。     以上

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