BIS論壇No.430『日本ASEAN50周年』中川十郎12月29日
日本とASEAN(東南アジア諸国連合)は今年友好協力50周年を迎えた。50周年を祝い、12月16~17日、東京で日本―ASEAN特別首脳会議が開催された。
1⃣5日にはタイのセター首相主催の日・タイ貿易・投資会議、17日にはフィリッピン・マルコス大統領夫妻参加の日本・フィリッピン会議が都内帝国ホテルで開催され参加した。
タイ会議には新任早々の斎藤・経済産業大臣も参加。冒頭のあいさつをされた。日本とタイはASEANの中でも経済関係が深く、日系企業6000社が進出し、日系人8万人が滞在しているという。特に自動車関連企業の進出が多く、今後は電気自動車(EV)、電気機器、化学、食品関連での協力も強化したい。50年目を記念し、今後は新技術、ソフトパワー、文化コンテンツ、ゲーム、ア二メ、映画などCreative 分野での協力を強化したい。さらに2050年のCarbon Neutral、60年のCarbon Zero に向けて、水素技術を含めた日本の協力を切望する。あわせセ゚ター首相が推進中のタイの東海岸とアンダマン側を鉄道と高速道路で結ぶLand Bridge(陸橋)構想(予算約4兆円)への日本の資金、技術協力を強く要請された。
タイの日本への期待が大きいことが痛感された。
一方、フィリッピン、マルコス大統領ご夫妻は日本との繊維産業、ファッシヨン産業協力を強調され、新たな日本との協力を模索しておられた。フィリッピンは人口1億人を突破。
アジアに於いて、インドに次ぐIT産業も発展しており、新産業分野での協力の可能性が高いとの印象を受けた。将来、介護産業分野での協力強化も可能と思われる。
日~ASEANの次の50年に向けて、ASEANはアジア太平洋に於いて、中國、インドに次いで日本の貿易経済関係の重要なパートナーである。ASEANの貿易パートナーは2020年にはASEAN域内が21.4%、中國19.4%、米国11.2%、EU 8.4%、日本7.8%だが、日本のシェアー拡大が望まれる。一方、日本の貿易パートナーは2021年で中國22.9%、ASEAN14.9%、米国 14.1%、EU10.2%となり、中国に次ぐ第2位の貿易パートナーとなっている。(世銀データ)。80~90年代に日本企業の進出が本格化し。現在ASEANには1万5800社が進出。投資は267億ドルで米国に次いで2位である。ASEANの成長は顕著で、22年の名目GDPは約3.6兆ドルで日本4.2兆ドルに近づいており、25~6年には日本のGDPを超えることも予想される。
17日に首脳会議は政治・安全保障、経済、人的交流を三本柱とする共同ビジョンを採択。海洋安保やデジタル化、教育など130の協力項目を決定した。ASEAN地域の経済と社会をともに「共創」する精神で脱炭素やデジタル、サプライチェーン構築、EV(電気自動車)
、若者の交流など、日本は5年間で5兆円の資金の投入を決定した。日本はRCEP(アジア地域包括的経済連携)とあわせ、ASEANとの協力をさらに強化することが望まれる。以上