BIS論壇No.434比・印ファッシヨンショウ』中川十郎
2023年は日本ASEAN(東南アジア諸国連合)連携50周年記念年で12月に日本での記念式典があった関係でASEAN首脳が訪日しASEAN関連の催しが都内で数多く開催された。
BISでポスト中国の「ASEAN、インド研究会」の主査をお願いしている大島英雄BIS常務理事とこれらの会合に一緒に参加した。
12月17日に帝国ホテルで開催されたフィリッピン大使館主催の会議には訪日中のフィリッピン・マルコス大統領夫妻も参加された。フィリピンは人口1億人を突破。アジアでは中国、インド、インドネシア、日本についで人口が多い。英語も通用する関係で、インドについで、IT関係の専門家も多く、AI時代の日本にとっても地理的有利性から見ても、今後
情報関連でもアジアにおける重要な国になるものと思われる。
マニラには日本、米国が主導するアジア開発銀行もあり、21世紀、アジアの時代にあって、地政,地経学的にも関係を強化すべき国だ。
フィリッピンは今後IT,AI,時代を迎え、さらなる経済関係の深化が望まれる。これらの経済・貿易関係強化に加え、マルコス大統領ご夫妻は特に、日本との観光、サービス、ソフトビジネス強化に熱心だ。今回の訪日でフィリッピンのサトウキビの茎を活用した繊維を布地に使い、現地に進出の日本商社や百貨店と協力し、フィリッピンファッシヨンショーを行い、日本とのファッシヨンビジネス拡大に熱意を示しておられた。
明けて24年1月29日インド大使館で京都の友禅染をインドの伝統衣服サリーに活用しためずらしい「京友禅サリーファッシヨンショウ」が開催された。(添付参照乞う)
参加者はほとんど女性で占められていた。驚いたことに日本在住のインド女性だけでなく、参加した日本女性のほとんどもサリーを身にまとい参加していたことだ。これらの日本
女性はインドを旅行し、インドの魅力とりつかれ、インドを4回も5回も訪問しているとのことだった。
インドのヒンズー文化やアユルベーダ、ヨガなどに興味を持った日本女性が増加していることが実感された。
近年、グローバル・サウスの盟主として躍進著しいインドは23年に旧宗主国の英国を抜きGDP(国民総生産)で世界第5位に浮上。経済停滞を続ける日本を2~3年で抜き去り、米国、中國、ドイツに次いで世界第4位の経済大国になるとみられている。すでに人口では2023年中国を抜き、世界最大の人口大国となった。わが日本としてはアジアにおける親日国のインドとの経済、文化交流をさらに深め、IT,AI時代に躍進しつつあるアジアの未来の大国インドとの関係強化にさらなる尽力をすべきであると痛感した一夜であった。