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        10.『新ビジネス創出への情報活用戦略』中川十郎

        ~実践無き理論は空虚、理論無き実践は危険~

        コロナ禍による世界経済停滞の下、激化しつつある国内外の競争に対処するためにビジネスインテリジェンス(高度経済・経営情報)を新ビジネス創出にいかに活用すべきか、理論と実践の実例を参照しながら以下論じる。

        ビジネス開拓のためには高付加価値情報のビジネスインテリジェンスをどのように分析・活用するか。それには日頃から内外の関連情報に対する感度を研ぎ澄まし、情報収集のためのアンテナを張り巡らし、入手した情報を迅速に効果的に活用することである。

        以下、情報の質を高めるためのインテリジェンスサイクルの手法を紹介する。①まず情報収集の戦略目標を定める。②戦略・戦術策定に必要な政府、産業、先端技術、競争相手の情報を収集する。③収集した情報を評価、加工、編集する。④これらの過程を経て情報の価値を高めたインテリジェンスを徹底的に分析する。⑤この付加価値を付けた高度経済・経営情報・ビジネスインテリジェンスの分析の成果を戦略決定者に迅速に伝達する。以上の5段階をサイクルさせることによりインテリジェンスの有効性と効果を増大させる。

        情報は ①公開情報(Open Information)(新聞、TV, インターネット、書籍、資料など)②私的・人的情報(Human Information)③秘密情報(Secret Information)の3つに分類される。このうちビジネスにおいては①と②を活用する。③の機密情報には決して手を染めてはならない。企業倫理上もコンプライアンス、企業の社会的責任(CSR)上も企業機密を盗むことは厳禁すべきである。筆者の30数年の商社時代の経験を基に公開情報と人的情報活用で新規ビジネス開拓に成功した事例を以下参考までに例示したい。

        • インドに駐在時代、現地の英字新聞“Hindustan Times”紙上でこれまでの主要供給先のソ連からの医薬品原料輸入が困難となり、インドでの製薬に支障を来たし、保健衛生上も由々しき事態に遭遇しているとの情報を入手した。日曜日であったが、直ちに東京本社化学品部に通報。他社に先駆け、ペニシリン、ストレプトマイシン、ビタミンAの原料を現地化学品輸入公団にオファー。日本製医薬品原料の印度向け大量初輸出に成功した。このビジネスはその後、長期にわたり継続した。上記の情報活用のケースは現地新聞の公開情報を活用して成功した事例である。何気ない日々の新聞情報も鋭敏に収集し迅速に活用すれば大きな商権に成長する好例である。
        • ブラジルに駐在時代、チリで近く乗用車輸入が解禁されるとの情報を得意先が持ち込んだ。直ちにこの情報を本社自動車部に通報。1年の交渉後、4万台という日本車初の南米向け大量成約に結びついた。このケースは私的・人的情報を迅速に本社に通報。得意先情報を有効に活用した事例である。このような人的情報を得るためには日頃から、人脈をマメに開拓。有効情報の入手に努力することが大切である。
        • パナマ運河鉄道修復工事プロジェクト情報をパナマに関係する人脈から提供があった。日本の運輸コンサルタントと現地出張し、長期間ワークしたが、予想に反して、英国企業がコンサルタントフィーを無償提供したため、残念ながらこの商談では英国に敗れた。しかしたまたま現地の日本レストランで教育テレビ放送施設建設プロジェクトで出張しているコンサルタントに遭遇した。このプロジェクト情報を本社ODA担当課に通報。1年の努力の後、南米向け初のテレビ放送設備の輸出に成功した。この縁で、その後、さらに、がんセンター向け医療機器のODA商談にも成功した。このケースは日本料理屋での偶然な出会いにより収集した情報から大きなビジネス商権が確立できた好例である。

        上記の各事例は新規ビジネス開拓には特別な秘策があるわけではない。日頃から、地味にこつこつと人脈を構築すること。また新聞、テレビなどからもビジネス関連情報を集めること。情報を迅速にビジネスにつなげる感性と意欲が大切なことを物語っている。

        情報分類としては、ほかにも戦略策定に活用される「戦略インテリジェンス」。戦術確立に有効な「戦術インテリジェンス」。さらに「マーケテイング・インテリジェンス」。「ファイナンシアル・インテリジェンス」。「技術・パテントインテリジェンス」。カナダの情報研究者が考え出した「イベント・インテリジェンス」。CIAの手法をビジネスに応用した競争情報「コンぺテイテイブ・インテリジェンス」。防諜を主とする「防御的インテリジェンス」。戦略的、戦術的に情報を活用する「攻撃的インテリジェンス」などがある。

         

        元米国情報評議会副議長のハーバート・E・マイヤーは情報を加工し、活用する「情報製油所理論」。それらの高付加価値情報を基に企業経営を行なう「情報レーダー・コクピット論」を唱えている。これに対して、筆者は情報の付加価値を高め、効率を増大させる「情報水力発電所理論」を提言。『グローバル企業の情報組織戦略』(筆者共訳)の著者べン・ギラード博士は情報を濃縮する「情報濾過理論」。情報の価値、効用を監査する「情報監査」の重要性を強調している。かれは「パソコン、インターネットに象徴される21世紀のIT、情報時代は、一面で情報洪水の時代でもある。だが真のインテリジェンスは砂漠の状態にある。だからビジネスに役立つ情報の収集、インテリジェンスの活用が21世紀の情報革命時代の企業の死命を制する」と喝破している。知識主導の世紀を迎え、熾烈な巨大グローバル競争を生き延びるためにはビジネスインテリジェンス、情報の活用と実践が強く望まれる。かかる情報戦略の時代に対応すべく企業組織に設置した国際諮問委員会や国際戦略研究部門、経営企画部、業務部、さらに情報企画部、リスクマネジメント部などを全社的に強化している日本企業もある。これらの組織を通じ、経済、産業調査、さらに激変する国内外の環境変化の迅速な調査・分析を行い、その結果を経営陣、営業グループトップに伝達。中長期的な経営戦略策定に役立てている。

        激烈な国際商戦はつまるところ国際情報戦でもある。グローバル競争を勝ち抜くために、なを一層の情報重視経営を進めること。これこそが今次のコロナ禍後の世界経済危機を乗り切り、企業が生き残るためのインテリジェンス戦略である。

        今まさに情報を制するものがビジネスを制し、世界を制する時代が到来している。(完)

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