BIS論壇 No.438『躍進する中国大連』中川十郎 23・3・31
先日、躍進する中国大連政府関係大型訪日ミッションが来日。都内ホテルで2日間にわたり、日本の関係者との交流会議が開催された。初日の全体会議の翌日はITC、Health Care介護産業の二分科会が開催された。
筆者はHealth Care養老産業分科会にBIS大島英雄・常務理事とともに参加した。
中国も日本同様、高齢化が急速に進展。現在の65歳以上の2.8億人が2025年には3億人、2050年には5億人に達する見込みで、老齢化対策は焦眉の急務であるという。大連市では184万人が65歳以上の高齢者で、高齢化率は全国平均を4.9%上回り、24.7%に達しているという。従い養老産業クラスターを強化すべく、50Projects に300億元を投入。シルバー 経済(Silver Economy)、介護産業への支援を強化するとのこと。そのためには
養老人材教育などで進んでいる日本との協力を更に強化したいとの強い要請があった。
大連では高齢者介護のために、国立森林公園などを活用し、高齢者、障害者の健康への対応。高齢者施設へのプール、図書館、カラオケ、書道教室、深夜大学の設置などに加え、
15分以内でアクセスできるスマート地域医療施設を24年中に41か所設置を努力中とのことだ。 医療関連では機器、設備、薬品など大連FTZ(関税特恵自由貿易地域)を設け、大連と日本との高齢者介護技術、人材の分野でさらなる協力をしたいとの強い要請があった。
特にDigital 活用による養護、介護人財教育に日本の協力を期待しているとのことだ。
介護人財教育に関しては大連大学が熱心で、生命健康ビジネス、エコシステムなど理工農医11学部が協力している。特に医療介護、ライフサイエンスに関しては大学、企業の連携で研究が強化されている。日本とは特に医薬品、器具、食品などLife Science、Silver Economy 分野での医療介護協力、中日Life Science, 人財育成、国際メデイカルサイエンスセンターでの中日協力での人材育成、研究、産官学での医療介護分野での共同研究を強く要請された。
大連職業技術学院は1300人の学生、公立介護学院は3000人の学生を教育。Intelligence Health Care では549名の学生が学び、健康介護サービスでの大量人財育成に注力している。さらにSilver Economy 推進協議会を設け、スマート、健康医療産業に全力をあげている様が感じられた。大連では30万M2 の養老施設に1100の養老住宅を建設。2024年から10年計画で健康養老特区建設を目指す。今日、中国は日本を抜いて世界第2位の製薬大国になりつつある。特に中国の得意とする漢方薬の製品開発に全力を注ぐ。介護医療教育においては実務と理論の二本立てで、ユニークな教育を強化する。ここでも日本との協力を強く期待されており、日本の中国との医療介護分野でのさらなる尽力が期待される次第だ。