今週のお薦め作品 3月29日公開「オッペンハイマー」
世界の運命を変えたという天才科学者オッペンハイマーの栄光と没落を描いた作品。原作の伝記は2006年にピューリッツアー賞に輝いている。映像化はバットマンの新解釈「ダークナイト」シリーズ3部作で大成功を収め、「インターステラー」「ダンケルク」で名匠の地位を確立したクリストファー・ノーランが監督・脚本・製作で作りあげた。本作は本年度のアカデミー賞最多7部門を獲得した。作品賞、監督賞はもちろん、オッペンハイマー役のキリアン・マーフィー、宿敵となる原子力委員会の委員長ストローズ役のロバート・ダウニー・jrが助演男優賞を受賞した。女優陣は賞こそ逃がしたが、妻キティ役のエミリー・ブラント、かつての恋人で結婚後も関係を持つジーン役のフローレンス・ビューも素晴らしい。他では、ケネス・ブラナー、マット・デイモン、ラミ・マレック、ジョシュ・ハーネットなど多彩な共演者が顔をそろえている。ちょい役だがトールマン大統領役に名優ゲーリー・オールドマンが演じているのは嬉しいかぎりだ。これだけのメンバーを揃えて激動の時代の人間ドラマを丁寧に描いている。☆☆☆☆☆の価値ある作品なので、映画館の大きな画面で楽しんでもらいたい。3時間の大長編だが、時間を感じさせない面白さもある。