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         2024年4月19日発行

        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第742回

        「人工知能(AI)が人間を凌駕するシンギュラリティの

        到来は早まる!」

        浜田和幸

         

        ──────────────────────────

        現在、人類は地球温暖化や第3次世界大戦の引き金になりかねない紛争や対立など、様々な課題に直面しています。

        そうした難題を冷静に分析し、国際社会が納得、同意できるような解決策を見出すには、どうすれば良いのでしょうか?

         

        このままでは地球も人類も生存が危ぶまれるばかり。

        国連など国際社会も有効な手立てを見出すことができないまま、南北間の不信感や東西対立の再来も懸念される一方です。

         

        そんな時代であるからこそ、「シンギュラリティ」への関心も高まっています。

        これはアメリカの未来学者レイ・カーツワイル氏が2005年に提唱した概念で、「コンピュータが人類の知性を超える時が迫っている」とのこと。

         

        「欲望や利権に惑わされる人間に任せていたのでは地球は終わってしまう」。

         

        AIが人間の能力を超越するのは時間の問題で、カーツワイル氏は、「その時期は2045年」と予測していました。

         

        果たして、人類はAIと一体化し、個別の利害を超越し、生命体としての地球を守ることに全身全霊でまい進する「ポスト・ヒューマン」に変身できるのでしょうか?

         

        イーロン・マスク氏は脳とコンピュータを合体させる「IOBビジネス」を模索しているようですが、人類生存の可能性は確保されるのでしょうか?

         

        数学者にして未来学者でもあるベン・ゲルツェル氏は、

        「人工知能が以前に予測されていたよりもはるかに早く、2027年までに人間の知能を超える可能性がある」と警告を発しています。

        ゲルツェル氏は「AGI(人工一般知能)」という用語を広めたことでも知られており、これは人工知能が自然な人間の認知パターンを模倣する能力を指すものです。

         

        彼曰く「AI技術の急速な進歩により、AIが指数関数的な「知能爆発」の瀬戸際にある」。

        正に人間にとって深刻な事態が間近に迫っているとの警告に他なりません。

         

        更に、「今後3〜8年以内に、人間レベルのAGIが誕生する可能性が非常に高い」とゲルツェル氏は予測し、「一度人間レベルのAGIに到達すると、数年以内には極端に超人的なAGIになる可能性がある」とも述べています。

         

        要するに、ゲルツェル氏の警告は、AIの急速な発展のペースと、AGIの達成に伴う潜在的な影響、すなわち技術的特異点の可能性などを多角的に評価し、AIによって生成された偽情報(ディープフェイク)は、世界中で大衆の意見を左右し始めており、その影響は想像を絶するものと結論付けているのです。

         

        かつては、偽の写真、動画、または音声クリップを作成するには、相当な時間と技術的な知識、そして財政的なリソースが必要でした。

         

        しかし、AIの登場により、これらの障壁が大幅に低下し、悪意を持った人物とスマートフォンがあれば、大衆の意見を簡単に操作することが可能になってきたと言えます。

         

        AIによって生成されたコンテンツの洗練度が高まるにつれて、事実とフィクションの区別がより難しくなり、我々一人一人にとって誤情報との戦いが困難になっていると言えるでしょう。

         

        例えば、AIによるディープフェイクが選挙に与える影響は多岐に渡るようになってきました。

        具体的には、先の台湾での総統選挙においても候補者の偽動画が広く拡散し、投票行動にも影響を及ぼした模様です。

         

        既にディープフェイクは実験的段階を通り抜け、アメリカでは大統領選挙の関連広告に登場し始めています。

        例えば、バイデン大統領が病院に担ぎ込まれているフェイクニュースも簡単にできるでしょう。

         

        はたまた、対立候補の信用を失墜させるような動画も瞬く間に拡散されるはずです。

         

        こうした偽のツールを使えば、特定のグループを標的にし、投票に関する虚偽のメッセージを広めることができます。

         

        言うまでもなく、さまざまな言語で投票プロセスに関する誤った情報を広めたり、政府機関の公式ウェブサイトに見せかけた偽のウェブサイトを作成したりすることも、いくらでもできてしまうのです。

         

        余程の対策を自ら立ち上げていない限り、AIの偽情報と戦うことは容易なことではありません。

        人工知能が真似のできないような個性や感情を大切にした生き方を模索するのが最善の対策と言えそうです。

         

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        著者:浜田和幸

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