BIS論壇 No.441『中国遼寧省・青島自由貿易区説明会』
名古屋市立大学特任教授、BIS理事長 中川十郎 2024年4月30日
さる4月19日 都内ホテルで中国遼寧ー日本経済貿易協力交流説明会ならびに青島自由貿易エリア-日本経済貿易協力交流会が開催されたので参加した。
ミッション団長は遼寧省共産党書記かくほう氏で有意義な議論が行われた。遼寧省は日本との関係が強く、中國東北地域の経済をけん引している。整備された工業基盤やインフラ、巨大市場、日本語人財も豊富で優れた投資環境を備えている。さらに大連経済技術開発区や遼寧自由貿易試験区など多様な開発区を設置。積極的な外資誘致に取り組み、開発開放以来、遼寧省に設立された日系企業は8000社に上っているという。
日本とはこれまでの実績をベースに幅広い経済貿易の強化を図っていきたいとの強い意志表示があった。日本企業の投資は累計250億ドル(3兆7500億円=1ドル150円換算)に
達し、21年には74社が進出。中国の経済回復、現代化の支えなどもあり、対日貿易は拡大している。中国産業のUp Grade など遼寧省経済は新しいステージにあり、プラント建設、石油化学、サプライチェ―ン強化、さらにSmart Green産業、新素材、エネルギー、DX, バイオ、医薬品など新興産業を育成。科学イノベーションの強化。大学、研究所との連携による新技術、イノベーションの強化に努めたいとの熱意が中国側発表者にみなぎっていた。日系企業のみならず、外資系ではBMW,サウデイアラムコ、ハイニックスなども活躍しており、日系企業も含め、遼寧省は外資、新投資のHot Spotになりつつある。
遼寧省は23年 5.3%のGDP成長を遂げ、24年は5.5%を目指している。特にFrontier 技術、DX, Green X、低酸素事業に日本との協力を強化。精密化学、半導体分野などで日本との双方向の協力の強化に努めたいとの遼寧省書記の強い熱意表明があった。
青島に関しては特に海洋遺伝研究で世界一といわれるBlue Economyの振興に注力したいとのことであった。一方貿易は年間27.3%の増加を示しており、日本Zoneを設け、産業集積、Smart 製造、IC、半導体、IC Design, Bio 、世界最大の遺伝子研究などに力を入れているとのこと。52KM2の青島自由貿易地域には2300社が参加。荏原環境、Panasonicなど118の日系企業が参加。青島とは1980年代に日中経済貿易が強化され、2018年には青島東京事務所が設立された。青島との合作で特に省エネ関連で24Projects
が動いている。海洋経済やGreen Energy 環境会議も開催され、相互補完関係にある。
青島は海上輸送で貿易のハブ化しており、Container輸送に関しては深圳、香港、ソウルに次いで世界4位に位置。日本としても地の利のある遼寧省、青島との関係強化が必須だ。