「古武士(もののふ) 番外編 」
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2015年7月4日 京都の賢者の話。
ある女性が肺に癌が見つかったため、医者から競技をやめて手術をするよう告げられた。 その女性はある競技で既に日本チャンピオンであった。
彼女は米軍基地で産み落とされた。今で言うハーフだが昔はあいのこと呼ばれよくいじめにあった。
自分の様な思いをさせたくなく、子供を持つ人生は送らないと決心して生きてきた。
そしてある競技に子供のころから没頭し、日本チャンピオンの座に就いた。しかし彼女は満足しなかった。
どうしても世界選手権に出る夢を捨てきれなかった。
肺の手術をすると当然世界選手権には出られない。そこで彼女は賢者に治してくださいと懇願した。
すると賢者は昔あった出来事を話した。
それは彼女と同じ境遇の母子家庭で5歳ぐらいの、あきらかに黒人とのハーフの男の子の事だった。
ある日その男の子に賢者は尋ねた。
「坊やさびしそうな眼をしてどうしたの?」
「みんながあいのこって言って虐めるんだ。あいのこってどういう意味?」
賢者は答えた 「坊や、”あいのこ”っていうのはね、神さまからも多くの人達からも愛されている子どもの事を言うんだよ」
愛の子。その瞬間からその子は人が変わったように他の子供たちと仲良く遊ぶようになり、多くの友達が出来た。
母親が賢者にどういった魔法を使ったのですか?何を言ったのですかとしつこく尋ねた。 賢者は答えなかった。
この話を聞いた日本チャンピオンは感動の涙に咽び、なんとその後病院のMRIでは肺の白い影が消えてしまっていた。
もっと早く聞いていれば彼女の人生は変わったかもしれない。
いやそうだとすると彼女は日本チャンピオンにはなれず、世界大会に出場する資格も無かったかもしれない。
しかし賢者の言葉で彼女は救われた。
来月世界大会が行われ、彼女は念願の出場を果たす。 素晴らしい結果を心から祈っている。
神は乗り越えられない試練は与えないと言うが、 彼女は気高い精霊を持って生まれてきた人なのだろう。
「道上伯」とは字画で言うと非常に苦労する名前だそうだ。
確かに幾度となく死にかけた。
だからそれに耐えうる魂がその名で生まれてきたのかもしれない。
【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。