BIS論壇No.448「コロンビア大学講演」中川十郎24614
さる6月3日、4日、恒例の米コロンビア大学ビジネス・スクールの同窓会が都内ホテルで、年次講演会が大手町フィナンシャル・シテイ コンフェレンスセンターで開催された。
3日の同窓会では戦後第一号のコロンビア大学ビジネス修士号取得者のキッコーマン醤油、茂木会長が流暢な英語で挨拶された。同窓生約70名が参加。
4日の年次 研究・講演会には同窓生を中心に約100名が参加、盛会だった。本年の論題は「グローバルな問題解決への挑戦~『AI』、『イノべ―ション』、『金融政策』。『国際貿易』と盛りだくさんの演題について、熱気あふれる質疑もあり、好評であった。
主催はコロンビア大学ビジネススクール 日本経済経営研究所、共催 株式会社 日本政策投資銀行 。
基調講演:『AI』、『経済成長』、『生産性』の考察 と題し。コステイ―ス・マグラス コロンビア大学ビジネススクール学院長、経営学教授が講演。
講演は『日本のビジネスリーダーが「最高の発想」を生むために』と題し、シーナ・アイエンガー・コロンビア大学ビジネススクール教授が行った。アイエンガー教授は教授のほか、Innovation Hub のアカデミック・デイレクターを兼務。ペンシルバニア大学ウオー
トンスクールで経済学士号、スタンフォード大学で社会心理学博士号。選択理論に関する世界的権威である。
彼女の理論はおびただしい選択肢がある世界で人が課題に直面する方法の研究で有名である。同教授の選択理論は『人間はあまりに選択肢が多いと逆に選択できなくなる』というものである。この理論はテクノロジー、小売業、メデイア、コンサルイング、投資業界などの多岐にわたる企業のマーケテイング戦略に影響を与えたことで広く知られている。
同理論は文春文庫から『選択の科学』として発刊。様々な賞を受賞。NHKの「コロンビア白熱教室」としても放映され、好評を博した。また23年に出版された『THINK BIGGER』『最高の発想を生む方法』(ニューズビックス)ではアイエンガー教授の最新の研究をもとに、デザイン思考などを含めたイノベーションと問題解決能力について6段階に分けて解説し、注目を浴びた。
そのほか、対談「AIとイノベーション」、パネル討論「深化する金融政策」、「国際貿易システムの今後」など有益な討論が繰り広げられ、非常に有益であった。本講座は一般にも開放されているので、来年はぜひBIS有志も講義に参加されることを期待したい。