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         2024年5月17日発行

        世界の最新トレンドとビジネスチャンス

        第745回

             「日本は排他的経済水域の広さでは世界第3位の海洋資源大国」

        浜田和幸

         

        ──────────────────────────

        日本には島が6800あります。その意味では、日本は世界有数の島国に他なりません。

        しかも、その内、484の島は国境離島なのです。

        注目すべきは、こうした離島を起点として日本の領海が決まるという国際的なルールでしょう。

        12海里先までは日本の領海で、主権が及びます。

        200海里先までは「排他的経済水域」というわけです。

        日本は国土面積では世界で61番目ですが、日本が管理できる排他的経済水域の面積で比較すれば、世界第6番目に位置する海洋大国と言えます。

        実は、そうした日本の排他的経済水域内には未開発の資源が大量に眠っています。例えば、最東端にある南鳥島の周辺には日本が必要とするレアアースの250年分の存在が確実視されているほどです。まさに、日本は「宝の海」を所有していると言っても過言ではありません。

        当然でしょうが、こうしたお宝は周辺国も狙っています。しっかりと守らねばなりません。その意味では、信頼できる周辺国との協力は欠かせません。

         

        4月16日、海上自衛隊は「特別警備隊」(Special Boarding Unit)をインド太平洋地域に派遣し、島嶼国の保安機関に対して不審船等への立ち入り検査を含む能力向上のための支援を行うことを発表。

        この「特別警備隊」は2001年にアメリカ海軍のネイビーシールズを参考に発足したもので、陸海空の全自衛隊にとっては初めての特殊部隊です。広島県江田島に拠点を構え、隊員は100名ほどです。

         

        海上自衛隊は本年5月3日から12月15日にかけて

        水上部隊、航空部隊、潜水艦部隊、特別警備隊小隊を

        インド太平洋方面に派遣し、アメリカやオーストラリアの海軍との多国間共同訓練も行う予定です。

        こちらは毎年のように行われているものですが、フィジー、バヌアツ、パプアニューギニア、パラオ、マーシャル諸島やミクロネシア連邦も参加する予定であり、特別警備隊の活動とも連動することになるでしょう。

         

        いずれにせよ、自衛隊の特殊部隊が海外機関に支援を行うのは初めてのこと。

        自衛隊によれば、太平洋島嶼国では中国による投資や支援が拡大傾向にあり、中国の政治的な影響力も強まっているため、安全保障の観点からの懸念を表明している国もあることを踏まえ、特別警備隊の派遣によって、これらの諸国との関係を強化するのが目的とされています。

         

        2023年6月には海上保安庁とアメリカ、フィリピンの沿岸警備隊が初めて南シナ海で合同訓練を実施。海上自衛隊も同8月にはオーストラリアを含めた4か国で共同訓練を実施しました。その後、日本はフィリピンには沿岸監視レーダーシステムを供与することで合意しています。こうした流れを受け、海上自衛隊の特別警備隊の派遣も決まったわけです。

         

        岸田政権は先の首相の訪米に際し、アメリカ、フィリピンと共に南シナ海やフィリピン周辺海域での共同の資源開発や安全保障面での責任分担を合意し、70近くの協定を締結したばかり。そうしたアメリカやフィリピンなど同盟国との連携を強化することも目的の一つです。表向きはインド太平洋地域における軍事拠点の建設を目指したものではないと言いますが、資源開発のためには軍事基地も欠かせないインフラ整備と見なしているのがアメリカ、日本、フィリピンの共通認識であることは明白でしょう。

         

        この海域での資源開発には日本同様、中国も以前から関心を寄せてきました。特に西フィリピン海にはサウジアラビアに匹敵する大量の石油や天然ガスの存在も確認されています。こうした海洋資源の非合法な開発や収奪を防ぐことは、今後の重要なテーマになるはずです。その意味では、中国も加えた国際的な共同開発計画を早急に練り上げる必要があります。

         

        言うまでもなく、海洋資源は特定の国が生み出したものではありません。地球と言う生命体が長い時間をかけて生み出したものです。海の恵みに感謝し、人類共通の資源として利活用するビジョンを海洋大国・日本から提唱すべき時ではないでしょうか。

         

         

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        著者:浜田和幸

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