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        BIS論壇 No451『SCO(上海協力機構』中川十郎 24711

        7月3~4日、中央アジア・カザフスタンの首都アスタナでSCO(上海協力機構)の首脳会議が開催された。SCOは当初、中國、ロシアが主導し、中央アジアのタジキスタン、キルギス、カザフスタンの5カ国で結成。会議が上海で開催されたところより、SCO(Shanghai Cooperation Organization=上海協力機構)と命名された。2001年にウスべキスタンが加盟、6カ国となり、その後、地域の大国インド、パキスタン、イランが参加、9カ国となった。本年の首脳会議でベラルーシの加盟が認められたことより、当初の5カ国から10カ国に増加。中央アジアにおける経済、軍事面での協力が強化されるとみられる。

        この会議にはSCO加盟に関心を示しているトルコのエルドアン大統領も出席した。

        いずれ、中央アジアの大国トルコもSCOに加盟するものとみられる。そうなるとSCOは中央アジアにおける強力な国際経済協力機構になるものと思われる。

         

        SCOと並び、近年、力を増しつつあるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中國、南アが主体)の動向とともに、SCOの動向については、注目を浴びつつあるグローバル・サウスの動きとともに、日本としても注目する必要があるだろう。

        SCOをけん引する中国は中央アジアを中心にヨーロッパへの物流、貿易拡大を目指す「一帯一路」創設の2013年以来、中央アジアを中心に鉄道、高速道路、港湾建設など物流面の充実に力を注いでいる。

         

        ユーラシア大陸を横断し、中國と欧州を結ぶ鉄道網の整備に中国は注力中だ。中国はウスべキスタンなどと新たな鉄道敷設で合意。地政学リスクが高まるロシアや紅海を迂回する代替ルートを建設すべく、中國や欧州は経由国となる中央アジアやコーカサスで大型投資に動き出しつつある。中国、ウスべスク、キルギスの3か国は6月に鉄道建設に関する政府間協定に調印。10月にも建設に着工するという。これは中国の広域経済圏構想「一帯一路」共同建設の象徴的な事業になると期待されている。全長500キロ、投資総額50億ドル(約8000億円)。中央アジア、コーカサスを経由し、中國と欧州をつなぐ「中央回廊」鉄道網の整備が動き出している。

        EUは中央アジアのコーカサス諸国での鉄道や港湾整備に向け、100億ユーロ(約1兆7400億円)を投資する。韓国は同国の高速鉄道「KTX」の車両42両をウスべスクに供給する協定に署名した。(日経7月8日)。一方、タイのランドブリッジ南部経済回廊計画にも中国が動き出しているという。中国の「一帯一路」を米国とともに「債務の罠論」で批判している日本はこのままではユーラシア大陸物流網建設から疎外され、将来、悔いを千載に残すのではないかと憂慮される次第だ。                                                        以上

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