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        中東イスラーム世界の結婚と離婚事情・・・2

        ― 離婚 ―

         

        2024.8.01.

         

        前号ではイスラーム世界での結婚は契約に基づき行われ、契約のもっとも重要な取り決め事項は結婚贈与金(マフル)で、この贈与金を準備出来ない青年が急増していることをお伝えました。同時に、結婚生活を維持して行くことでの男性の悩みにも触れました。

         

        今回は、離婚について考えてみたいと思います。結婚が「契約」でスタートするのですから、離婚は「契約の解消」となります。

         

        離婚は契約の解消

        契約書で取り決めたことが守られなくなった場合、妻は“契約解消”を宣言し、契約条件に従い贈与金*を手にして、粛々と実家に戻ります。離婚は恥ずべきことではありません。“相手が悪い”・“性格が違う”など離婚で泥仕合を演じるケースが見られる日本とは様相が違うように思えます。

        *一般的に 結納金より離婚のときの贈与金の方がはるかに高額。大体30%VS70%で離婚金の方が

        圧倒的に高い。

        婚約時、約束(契約)した贈与金(マフル)は、すべて妻の個人資産となります。新婦にとっては離婚保険のようなものであり、離婚後の女性の生活を保証してくれることになりますので、結婚に踏み切る際の大きな判断基準でもあります。前号でも触れましたが、この贈与金を準備できない男性が中東各地で急増しているのです。

         

        「あついあついと言われた仲も、三月せぬ間にあきがくる」と移り気な男女の付き合いを謡った都々逸がありますが、あらかじめそのようなことを想定し、文書ではっきりと約束事を取り決めるイスラーム結婚方式は、考え方によっては合理的・現実的なようにも思われますが、どのようにお考えになりますか?

         

        婚前契約はイスラーム世界だけではありません。契約概念が根付いている米国では、4組に1組が何らかの形で契約書(取り決め・約束)を交わしているとのことです。日本では、メディアによれば100組中5組程度が婚前取り決めを取り交わしているのが現状の

        ようです。

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        処女であること

        イスラームの教えとは直接関係はありませんが、中東地域では結婚する女性は処女でなければならないとの因習があり、処女でないことが判ると離婚問題に発展するケースがあります。イラン・イラクの一部地域*では、その傾向が顕著にみられます。

        *2022年12月、世界最大のスムレム人口を有するインドネシアで、婚前交渉を禁止する法令が可決された。

         

        結婚前に他の男性と性的関係を持つことはタブーであり、処女であること即ち初夜での出血が重要なエビデンスとされてきました。しかし、処女でありながら出血しないケースもあることより、イランでは婚約するとクリニックで処女証明を入手しようとするケースが多く見られるとのことです。また、結婚前に何らかの事情で処女膜を失った女性が、処女膜再生手術を受けるケースも少なくないとのことです。

         

        出逢いと別れ

        イスラームでは(国や宗派により違いがありますが)夫が妻に対し“離婚だ!”と3回宣言すれば離婚できることから、離婚率も高いと思われがちです。

         

        しかし、イスラームの聖典の一つであるハディースでは、「アッラーが最も嫌悪されているものは離婚である」とも述べています。

         

        国連統計(巻末参考資料参照)から見ると、統計対象国が限られているので断定は出来ませんが、中東イスラーム諸国での離婚率が際立って高いとは言えないようです。ただ、直近のサウジアラビア政府の統計では、2020年の離婚率は前年比12.7%増加しています。

         

        一般論ですが、離婚率が低いことが必ずしも幸せな結婚生活が営まれているとは言えない側面もあるようです。離婚を恥ずべき事とする社会風土のある国では、事実上離婚状態にありながら仮面夫婦として婚姻関係を続けるケースもあり、また離婚した女性を社会的に受け入れない傾向のある国では、離婚率が低いと指摘する専門家もいます。

         

        一方離婚率が高い国では、離婚後の女性に対する制度が充実し財産分与も女性に有利であると共に 離婚後は子供が決められた歳になるまで、夫が養育費を支払う義務があるなど女性への配慮がみられるとの指摘もあります。

         

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        (参考資料)

        ・イスラームの日常生活  片倉もとこ 岩波新書

        ・イスラームにおける離婚  徳増公明

        ・コーラン 井筒俊彦訳 岩波文庫

        ・イスラームにおける婚姻制度 南村隆夫 中東通報

        ・「Iranian women who need certificates to prove they are virgins」BBC

        ・アラブのこころ 曽野綾子 サンケイ

         

        ・人口千人当たり離婚件数

        ロシア     4.7          ドイツ     2.0

        ベラルーシ   3.5          オーストラリア 2.0

        デンマーク   3.0          中国      1.8

        米国      2.6          日本      1.7

        スエーデン   2.5          トルコ      1.7

        ヨルダン     2.3          メキシコ    1.0

        ベルギー    2.2          カタール     0.4

        イラン      2.1          ペルー     0.4

        韓国      2.1

        エジプト     2.1                :原資料・国連 人口統計2018

         

         

         

         

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