奥 義久の映画鑑賞記
2024年8月
*私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)
2024/08/01「ツイスターズ」☆☆☆☆
「ジュラシックワールド」の制作陣が自然の驚異“巨大竜巻”をテーマに描く新作。竜巻から人類を救う研究をしている気象学の天才と竜巻インフルエンサーらが協力して巨大竜巻破壊計画を実践するまでのアクションアドベンチャー。天才気象学者に「ザリガニが鳴くところ」でブレイクしたデイジー・エドガー=ジョーンズ、
インフルエンサーのリーダーにグレン・パウェルが扮している。巨大竜巻の迫力は大画面で観る作品で、この夏一番のアクション大作を映画館で楽しんで欲しい。
2024/08/12「ボレロ 永遠の旋律」☆☆☆★
フランスの天才作曲家ラヴェルの半生と名曲「ボレロ」の誕生にまつわる物語。ラヴェルは友人の振付師イダ・ルビンシュタインから
バレエ音楽の作曲を依頼されるが、なかなか書くことできなかった。ようやく原型を書き上げたものは同じメロディを何回も繰り返す斬新なもので、それを聴いたラヴェルの理解者のピアニストも構成に戸惑っていた。しかしラヴェルの慕うミシアの強い勧めで完成させる。イダの振付に違和感を抱くがオペラ座の公演は大成功をもたらし名曲ボレロが誕生する。ボレロをラファエル・ペルソナ、ミシアにドリヤ・ティリェ、イダにはジャンヌ・バリバールが扮している。誰もが知っている名曲ボレロの生みの苦しみとラヴェルの愛を知らず音楽に捧げた人生を見事に描いている。
2024/08/13「プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち」☆☆☆
昨年公開された低予算映画「プー あくまのくまさん」は全世界でまさかの大ヒット。大ヒットに続編はつきもの、前作では登場しなかったティガーやオウルも登場して、100エーカーの森から抜け出したプーと凶悪な仲間達が再び人間を襲う。B級ホラーの定番といえる血しぶきと殺戮が嵐のように襲う作品。子供には見せられないプーさんの再登場を楽しんでください。尚、今作ではクリストファー・ロビン役はホラー映画を10年間で100本制作したスコット・チェンバース自らが演じている。力のいれようが、シリーズの本格化を伝えている。
2024/08/18「ぼくの家族と祖国の戦争」☆☆☆★
今年も「関心領域」「フィリップ」とナチス関係の傑作が多い中でデンマークから新たなナチス作品の傑作が生まれた。本作はナチス統治下のデンマークにドイツ難民が押し寄せてくる。ある村では大学の体育館に難民を収容するが、当初200名の予定が523名と倍以上で感染症が瞬く間に拡がっていく。学長のヤコブは大学生たちに感染しないようにと難民に薬を分け与える。この行為が国への裏切り行為として批判され、息子との関係も悪化していく。目の前の命を救うとの信念を持った家族を通して、正義とは何かを問いかけている。出演者はデンマークの俳優のため馴染みがないがいい演技をみせている。本作はデンマークのアカデミー賞と言われるロバート賞5部門にノミネートされている。
2024/08/20「エア・ロック 海底緊急避難所」☆☆☆
「海底47M」「FALL/フォール」の制作陣が送るサバイバル・スリラーの最新作。メキシコのリゾート地サボに向かう飛行機のエンジンに鳥が激突してトラブルが発生して飛行機は海底に墜落する。生き残った7人は機内のエア・ロックで救助を待つが水圧による機体破損、酸素減少等でタイムリミットが迫ってくる。機体の外には獰猛な人食いザメがいる。この危機的状況をどう脱出するか?有名俳優の出演もなく恐怖感も今一つのB級作品だが、今夏の暑さを忘れさせてくれる海中スリラー作品としての評価は出来る。
2024/08/22「フォールガイ」☆☆☆☆
「ラ・ラ・ランド」のライアン・ゴズリングの最新作。大けがをして引退したスタントマンのコルトが元カノの初監督作品ということで現場復帰を決めるが、プロデューサーのゲールの本音は失踪した主演俳優のトム・ライダーの捜索だった。トムを探すため危険を冒すコルトは真相に迫るが、そこには罠が待ち受けていた。コルトを演じるライアン・ゴズリングの元カノ役にエミリー・ブラント、
トムにアーロン・テイラー=ジョンソン、プロデューサー・ゲールにハンナ・ワディンガムが扮している。カースタントがギネス世界記録に認定されたアクション満載で最高に楽しめる作品である。
2024/08/24「ソウルの春」☆☆☆☆★
1979年10月26日独裁者と言われた朴大統領が暗殺された。その後の12月12日に起きた軍事クーデターまでの闇の歴史を映画化。韓国では「パラサイト」を超える1300万人の観客動員のメガヒットとなった。朴大統領暗殺後、事件の真相の解明にあたる合同捜査本部長にチョン・ドゥグァン保安司令官が就任する。かねてからハナ会という軍部内の秘密組織を率いて政治的野心を持つドゥグァン将軍は、この機会に参謀総長を暗殺事件の関係者として処分しようと拉致を考える。一方、首都警備司令官のイ・テシンは部下の中にハナ会メンバーがいる不利な状況の中、軍人の信念に基づきチョン・ドゥグァンの暴走を止めようと立ち上がる。チョン役にファン・ジョンミン、イ・テシン役にチョン・ウソンのW主演の熱演も見ごたえがある。チョン・ドゥグァンのモデルが第12代韓国大統領全斗煥であることは誰もが知っていることであり、このクーデターの結末は知っているが、ここに至る経緯は闇の中であった。全斗煥と腹心のノ・テウ(第14代大統領)によって民主化が遅れた韓国も、過去を清算すべき作品が発表出来るようになったことは前進できたという事である。
2024/08/25「モンキーマン」☆☆☆
俳優デヴ・パテルの初監督作品。「ジョン・ウィック」シリーズを手掛けた制作陣と組み、デヴが幼い頃聞かされた猿の神ハヌマーンの物語にヒントを得ている。幼い頃、母を権力者に無残に殺されたキッドは猿のマスクを被りモンキーマンと名乗りファイトの殴られ屋として生計をたてていた。ある日母の仇のところに潜り込み復讐を果たそうと試みるが失敗に終わる、だがそれは想像を絶する復讐劇の始まりであった。ジョン・ウィックの制作陣が作る映画なのでアクションのすごさは保証済み。「スラムドック&ミリオネア」でスターとなったデヴ・パテルの独壇場のアクション・エンターテインメント作品である。
2024/08/27「ラストマイル」☆☆☆★
「アンナチュラル」「MIU404」の監督・塚原あゆ子と脚本・野木亜紀子のコンビが2作品の延長線上の作品として新たな作品を作りあげた。舞台はネットショッピング大手デイリーファスト社の巨大物流センター。このセンターから届いた荷物が爆弾だった。誰が何のために仕掛けたのか?連続爆破を止めるために、物流メンバーと警察の捜査が始まる。主役は物流センター長役の満島ひかりとマネージャー役の岡田将生、上司役でディーンフジオカが出演、他に爆弾死した遺体解剖で「アンナチュラル」のラボが協力、捜査には404の機動捜査隊が参加するなどで二つのドラマのレギュラーメンバーが共演している。豪華キャストと人気ドラマのスタッフが映画の世界で素晴らしいエンターテインメント作品を完成した。