BIS論壇 No. 460『 BRICS首脳会議』中川十郎 24・10・25

10月22日からロシア西部のカザンで開催されていたBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中國、南アフリカ)首脳会議は24日閉幕。36カ国が参加。59カ国から約2000人の記者が取材に参加したという。

 

今回は2019年以来、2020年のインド北部ラダックでの中印軍の衝突以来、5年ぶりにインド・モデイ首相と中国・習近平主席との首脳会談が実現。両国関係強化が合意された。

本年1月にはイラン、エジプト、アラブ首長国連邦（UAE）、エチオピアが加わり、議長国のロシアによると加盟国や招待国の代表団約2万人が参加。タタールスタン共和国の首都カザンは観光客も締め出し、会議に集中したという。

 

会議では23日パートナー国創設を決定。創設時の5カ国から24年1月にイラン、エチオピア、エジプト、アラブ首長国連邦（UAE）をメンバーに追加。今回パートナー国にベラルーシ、キューバ、トルコ、アジアではタイ、マレーシア、インドネシアが候補国となったという。これで当初の新興国5カ国から15か国となりBRICSは国際経済、政治、軍事面での影響力と発言権を増すものと思われる。その動向には中国、ロシアが主導するSCO(上海協力機構)ともども十二分の注目が肝要と思われる。

 

先進7カ国のG7 の有力対抗機構としてWatchが肝要だ。特にNATO加盟国で中央アジアで影響力を有し、アフリカ、中東とも関係が深いトルコがパートナー国に選ばれたことは今後の中央アジアでの動向も含め、十分Watchすることが必要だと思われる。

パートナー国には13カ国が候補に挙がっているという。

 

あわせ、国境での軍事衝突以来5年間、関係が疎遠であった中印が関係改善。今後は発展する「チンジア」（China,India）の協力がさらに深まることが予測される。

21世紀に発展する中国、インドの動向も十分注目しつつ、日本の今後の中央アジア、ユーラシア戦略を確立することが肝要であろう。

今回の首脳会談で、中ロは反米、反欧州へのグローバルサウスの取り込み、トルコ、タイ、インドネシアなどは経済実利に注目する戦略なようである。

 

先のパキスタン・イスラマバードでのSCO(上海協力機構)首脳会議、10月27日の日本の衆議員選挙、11月5日の米大統領選挙、11月中旬のブラジル・リオデジヤネイロでの20カ国・地域首脳会議などの動向に十二分に注目し、今後の世界政治、経済の動向を的確に把握し、我が国の政治経済戦略を確立することが強く求められる。