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        2024年11月11日 

        話のタネ

        日本の国力

                元国連事務次長・赤坂清隆

         

        前略、

         先週、スカンジナビア諸国から来日された人々に、「日本の今日と明日」(Japan Today and Tomorrow)と題して、短時間でしたがブリーフィングをする機会がありました。その際使いましたパワーポイントをご参考までに添付いたします。もしこのうちのいくつかのスライドが皆さんのお役に立てるようでしたら、どうぞご自由にお使いください。

         

         このようなデータを集めますと、日本の国力が確実に落ちてきているのが如実に分かります。団塊の世代に属するわたしなどは、日本の国力が右肩上がりで飛翔する良い時期を過ごさせてもらったとつくづく思います。日本が世界一の経済大国になるかもしれないというような夢を、ちょっとの間でしたが見させてもらいました。たかだか40年ほど前のことです。

         

         もうあのような国民全体が高揚するような時期は二度とやってこないのかと思うと、少し感傷的になりますね。

        やはり、「人のなすことにはすべて潮時がある。

        うまく満ち潮にのれば成功するが、その機を逃すと、人生万事苦難の船旅。

        浅瀬にはまって動きが取れなくなる」(シェイクスピア) ― 今の日本は、潮時を逃してしまったために、浅瀬にはまって身動きが取れない状況になっていると見るべきなのでしょうか?

         

         まず人口ですが、現在の1億2500万人から、2070年には8700万人に減少する見通しです(スライド2)。

        このうち、外国人の居住者が、939万人で、全人口の約11パーセントを占める見通しです。日本の人口は、1950年には世界ランキングで5位だったのが、2020年に11位に、2050年には17位にまで下がる見通しです。

        人口減の一因に、結婚数が過去半世紀の間に半減したことが挙げられます。

        生涯未婚率も急上昇しており、50歳の男性の28パーセント、女性の18パーセントが未婚です。

        やはり、少子高齢化が現下の最大の課題ですね(スライド5~7)。

         

         次に、日本経済の世界ランキングは、現在のところは米、中、独に続く4位ですが、2050年までにはインド、インドネシアに追い抜かれ、2075年時点では、ナイジェリアやパキスタン、エジプト、ブラジル、英、メキシコなどの

        後塵を拝して、世界12位にまで下がることが予測されています。

        気をしっかりお持ちくださいよ!ナイジェリア、エジプト、それにパキスタンですよ!一人当たりのGDPは2023年現在で世界34位で、ルクセンブルグの4分の1、シンガポールや米国の3分の1近くのレベルです。

        すでに、台湾、韓国、スペインにも追い越されました(スライド8~10)。

         

         あまり愉快でないデータが続いて恐縮です。食料自給率は38パーセント(カロリー・ベース)しかなく、世界競争力ランキングは35位(2023年)、生成AIの使用度は、

        中、米、英、独などよりもはるかに遅れています(2024年、スライド12~14)。

        政府開発援助(ODA)も、絶対額こそ米国に次いでいるものの、対GDP比では、他の先進国諸国に比べて相当低い水準にとどまっています。

         

         日本人のパワーのほどはどうでしょうか?

        ノーベル賞は、今年の被団協の受賞を含めると30になりますから、そんなに卑下することはありませんが、

        それでもアメリカの12分の1、英国や独のおよそ4分の1、フランスの半分でしかありません。

        特許申請数は中、米に続く第3位ですが、中国の約5分の1でしかありません。

        日本のソフトパワーは、調査によって世界4位ないしは6位と上位につけていますが、それでも中国に後れを取っています(スライド16~18)。

        「ソフトパワーで中国よりも劣っているとはおかしいではないか?」という疑問が出されました。

        しかし、アセアン諸国やアフリカ諸国への中国の浸透ぶりにかんがみれば、中国のソフトパワーは侮れない気がします。

         

         日本女性の地位もグローバル平均に比べると劣っています(スライド19,20)。日本人の2024年の世界幸福度ランキングは、51位でした。

        フィンランドが1位、続いてデンマーク、アイスランド、

        スウエーデン、そしてノルウエーと、スカンジナビア5か国がすべて世界幸福度の上位7位までに登場します。

        これはなぜなのでしょうか?近い将来の「話のタネ」で取り上げてみたいと思っております。

         

        他方、文化・社会面では、日本の魅力度がぐっと上昇します。ユネスコ世界遺産が全国各地に存在しますし、タイムアウトの2024年の「世界でもっと美しい都市」に京都が選ばれました。

        日本は、近年常に世界で最も安全な国トップテンに含まれています。

        東京で2024年に警察に届けられたお金の遺失物は、

        44億円にも上ります。このニュースは、ニッポンドットコムではフランス語にも訳しますので、ちょっと嫌味ですが、わたしが昨年スリに出会ったパリ市の警察にも「ご参考までに」とメイルで届けました。

        日本人は、他国と比較しても、驚くべく正直で、清潔好きな国民といっても言い過ぎではないと思います。

         

         スカンジナビア諸国の皆さんと一緒に、広島の平和記念資料館、宮島厳島神社、そして四国しまなみ海道を通って、

        愛媛県の道後温泉に足を運んでまいりました。

        美味しい山海の珍味も満喫しました。

        皆さん、感動の連続だったと見受けられました。

        わたしは、道後温泉の湯につかりながら、日本には難題が山積しており、国力が国際的に低くなりつつあるのは心配なものの、「それでやっぱりいい国だわ」と心底思わずにはいられませんでした。(了) 

        制作協力企業

        • ACデザイン
        • 日本クラシックソムリエ協会
        • 草隆社
        •                 AOILO株式会社

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