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        中東こぼれ話

        日本で息づくイスラーム文化

         

        2024.12.01.

        位野花 靖雄

         

        西暦7世紀に誕生したイスラームは、瞬く間に東はサマルカンド・アフガニスタン、

        西はモロッコ・イベリア半島まで広がり、ギリシャ・インド・ペルシャの東西諸文化を

        吸収・融合し、新たな文化を開花させました。イスラーム文化は、天文・物理・化学・農業・数学・文学・・広範囲な分野で画期的な発展を遂げ、ルネッサンスの礎となりました。

         

        暗黒時代の欧州

        当時の西欧世界は、宗教界が支配する暗黒時代でした。ヨーロッパの人々にとって、イスラーム世界の見るもの聞くものすべてが新しいことばかりで、それらの事物を表現する自国の言葉がないため、アラビア語の発音をそのまま自国の文字で音訳し受け入れる(借入)しかありませんでした―私たちが外来の事物に相当する日本語がないため、外来語の発音をカタカナで表記し受け入れてきたのと同じだといえます。

         

        欧州諸国に入ったイスラーム事物は、受け入れ先の国情・地域事情などに適合した形で姿を変え発展し、世界各地に伝播していきました。その多くが日本にも到来し、私たちの日常生活に溶け込んでいます。本号では食文化を中心にまとめてみました。

         

        コーヒーとシュガー

        1960年代、西田佐知子の“コーヒールンバ”が大ヒットしました。

        ♬むかし、アラブの偉いお坊さんが 恋を忘れた哀れな男に、しびれる

        ような香り一杯の琥珀色した飲みものを教えてあげました♬

         

        コーヒーは11~13世紀頃アラビア半島の東端にあるイエーメンで誕生しました。当初はイスラーム神秘主義者が深夜の儀礼や勤行のために、コーヒーの抗眠・覚醒作用に目をつけて飲み始めたようです。コーヒーの語源はアラビア語(カフワ)です。

        qafwa(アラビア語)―kahve(トルコ語)-coffe(イタリア語)―cafe(フランス語)-coffee(英語)

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        イエーメンで誕生したコーヒーは、トルコ(当時のオスマントルコ)で広く一般市民に受け入れられ、その後欧州で爆発的に広がりました。日本へは17世紀末に出島のオランダ商館から伝わりました。

         

        シュガー(砂糖)の語源もアラビア語(スッカル)です。なぜアラビア語が語源なのでしょうか?

        インドまで勢力範囲を広げたイスラーム帝国は、インドからサトウキビ(sugar cane)を持ち帰り、サトウキビを大規模に栽培できる灌漑技術を開発し、地中海諸島・イベリア半島で砂糖生産に乗り出しました。

         

        当時のヨーロッパの甘味料は蜂蜜であり、ヨーロッパの人々は砂糖の存在を知りませんでした。ヨーロッパ人は、エルサレムへの十字軍遠征で初めてその存在を知り、砂糖を甘味料に使用し始めたのです。

        sukkar(アラビア語)-succarum(中世ラテン語)-sukre(古期フランス語)―sugar(中期英語)

         

        グルメもイスラーム文化(アラビア語)でいっぱい。

        シャーベット、シロップ、キャンディ、オレンジ、バナナ、アイスクリーム、サイダー、ジュース。いずれもイスラームをルーツとする食べ物で、アラビア語を語源としています。

         

        氷菓のそもそもの歴史を辿るとその源は古く紀元前に遡ります。メソポタミヤ文明のペルシャや古代バビロニアでは、雪山の雪を洞窟などに保存し(日本で見られた氷室のように)、夏の暑い時期にその雪を取り出して果汁や蜂蜜をかけて食していたことが明らかになっています。

         

        砂糖の出現で、9世紀ごろには果汁に砂糖を加えた冷たい飲み物が出現し、その後イスラームの支配下になったシシリアなどの豊富な果物の産地と結びつき、シャーベット・シロップ・キャンディとして、欧州諸国に伝わっていきました。

        ・シャーベット         : sharbah(アラビア語・飲み物)―sarbet(トルコ語)―sorbetto(イタリア語)-

        shabetto(英語)

        ・キャンディ(砂糖菓子):qand(アラビア語・cane sugar)―qandi(sugar candy)―

        candi(古典仏)-candy(中期英語)

        オレンジもイスラームがオリジンですが、少し変わった履歴があります。アラビア語で

        naranjiと呼ばれていたオレンジは、ポルトガル語laranja―イタリア語arancia-仏語

        orangeとなって伝播していきました。しかし。現在の中東諸国では、オレンジのことを

        ブルトカール(bultuqal)と呼んでいます。何故なのでしょうか。     2/3

         

        ブルトカール*とはポルトガルの意味です。イスラーム生まれのオレンジは苦く渋い品種だったが、ポルトガルで収穫されるオレンジは甘くて美味だったので、イスラーム圏に逆輸入されるようになり、オレンジならポルトガル物だとの認識が定着し、生まれ故郷ではオレンジをブルトカールと呼ぶようになったのです。

        *アラビア語にはP音はない。

         

        何時ごろ日本に到着したのか?

        これらの食べ物が日本に伝わってきたのは、何時頃なのでしょうか。

        日本とイスラームとは地理的に遠隔であることや、日本が鎖国政策をとっていたこともあり、直接イスラ―ム文化が入ってくることはなく、欧州諸国を経由してもたらされました。

         

        最初に到来したのはコーヒー・シロップで、室町時代にポルトガル・キリシタン文化とともに到来したと考えられています。砂糖は江戸時代の17世紀にオランダが貿易を独占していた時代に、オランダ人により伝えられました。

         

        1858年開国を契機に日本人の食生活が大きく変わり、西洋料理が一挙に流れ込んできました。イスラームにルーツを持つ食材・食べ物もその時に日本に持ち込まれました。

        千年近くの長旅を経て、姿を変えて日本に到着したことになります。

         

         

        参考資料: 英語語源辞典 研究社

        Aramco and its world

        コーヒーハウスの知恵 上野悌嗣

        アゴラ

        シンプリ英語語源辞典

         

         

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