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        第三章  別離の記憶     ⑤林正順 1
        
        そんな勝のいたずら三昧の行動の一部始終を、それとなく見やっている青年がいた。
        常勝院隆生寺の庫裏の裏の見捨てられたような小屋に住む林正順
        (はやしせいじゅん)だった。
        林は絵を描いていた。昼間は河川工事や道路工事の現場で働き、
        たまの休日や夜間などには寸暇を惜しんでキャンバスに向かっている。
        あまり喋らない林だったが、休日などに隆生寺の境内に勝が、
        入り込んだりするのを目ざとく見つけて、よく声をかけてくれた。
        彼は「勝くん」と親しく呼んでくれた。
        勝は最初のうちは林のことをどう呼ぼうかと迷っていたが、ある日
        夢中でキャンバスに向かっていて勝が縁側に座ったことすら気づかない林に、勝は思い切って「兄ちゃん!」と呼びかけた。
        林は質素な暮らしをしていた。
        まだ24歳だという彼はもちろん独身で、住職の孝隆和尚の好意で、
        じつは昭和20年8月15日の敗戦の前からこの小屋にいるという。
        はじめは父親と一緒に暮らしていたとか。
        林は、工事現場の飯場に来る行商のおばさんから買ったという
        不細工な、かりん糖や、大小のある、ふかしまんじゅうを勝に
        さりげなく気前よく振るまってくれる。
        飯場にはさまざまな行商が来るらしい。
        相変わらずのいたずらトリオが3人でいるときは、林はまず、
        絵の話などをした。
        手垢のついたすこしくたびれた画集をひっぱり出してきて頁をくる。
        ゴッホとか、佐伯祐三とか、青木繁という画家のいくつかの絵を見せながら、主に勝に向かって語りかける。
        そのとき勝は3年生になっていたが、正直、林の話の内容は
        チンプンカンプンだった。
        相変わらず勝にくっついて歩いているミノルやサカエは、たちまち
        逃げ腰になり、いつのまにか消え失せる。
        結局は、かりん糖にもふかしまんじゅうにもありつけない。
        佐伯祐三の絵にはギョロ目のロシア少女の絵とか、ただ黒々とした
        息の詰まりそうな建物の絵があった。
        それは、フランスのパリの風景だと、林正順は教えてくれた。
        それは、グイグイと絵の具を重ねた力強い絵ばかりだった。
        青木繁の絵には、漁師らしいふんどし一本の若い男と、やはり
        ふんどし姿のおじいさんが二人と、これも裸の男の子と縞の着物を
        着た女二人が描かれた海辺の絵とか、真っ裸の男たちが大勢で漁網の網を引っ張っている絵などがあった。
        女の裸の絵もあった。
        ゴッホという人の絵には、画面いっぱいに描かれた向日葵(ひまわり)の花の絵や、ヒゲづらのおじいさんの絵があった。
        
                                    続く
        
        
        
        
        
        
        

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