奥 義久の映画鑑賞記
2025年1月
*私自身の評価を☆にしました。☆5つが満点です。(★は☆の1/2)
2025/01/01「夏が来て、冬が往く」☆☆☆★
実父の葬儀のために集まった4人の兄弟姉妹。三女は生まれて直ぐに養女に出されたため初めての対面であったが、共に暮らす中で家族愛が生まれてくる。だが、母の目的は別の事もあった。中国の葬儀の風習や男尊女卑問題なども描かれ大変興味深い作品と同時に青島の美しい風景も見逃せない心に残る作品である。
2025/01/08「ビーキーパー」☆☆☆☆
世界最強の秘密組織の腕利きエージェント・アダムは引退して養蜂家として暮らしていたが、恩人の老婦人がフィシング詐欺に係全財産を無くし自殺する。アダムは詐欺組織に復讐するために立ち上がる。いまやアクションスターのトップに上り詰めたジェイソン・ステイサムがアダム役に扮して、悪人たちを追い詰め完膚なきまでに叩き潰すノンストップアクション。
2025/01/09「カルキ」☆☆☆★
6000年前の宿命が近未来の終末世界で戦いが始まる。インド映画が史上最大規模の制作費をつぎ込み作成した近未来アクション映画。途中の台詞まわしが長く、もう少しシナリオ構成が良ければ面白い作品になったと思う。
2025/01/12「エマニュエル」☆☆☆
1974年世界的ヒット作となり、シルビア・クリステルをスターにした「エマニュエル夫人」と同原作の映画化。あえてリメイクと言う言葉を使わなかったのは、原作は同じでも異質の作品と思える。
前作と同じところは、飛行機の中でのSEXと主人公が官能を求めて冒険するということ。舞台はタイから香港、エマニュエルは有閑マダムからキャリアウーマンと変わっている。今回の主人公は「燃える女の肖像」のノエミ・メルランが演じている。50年前の女性の性の解放を現代に移して描く意味がわからなかった。
2025/01/13「FPU~若き勇者たち~」☆☆☆
FPU(Formed Police Unit)とは国際連合平和維持活動に派遣される警察官の事であり、本作はFPUの活躍を描いた作品である。中国の人気スター、ワン・イーボーが主人公を演じ反政府軍のリーダーの虐殺の証人を命がけで守り抜くアクション・エンターテインメント作品である。
「モアナと伝説の海2」☆☆☆★
海に選ばれた少女モアナの冒険と主題歌「どこまでも」が大ヒットした待望の続編である。モアナ2は失われた仲間達を探す冒険の旅にでる。スケールアップしたミュージックファンタジーは1作目以上の面白さでファミリー揃って楽しめる作品である。12月6日公開の本作を最初は観るつもりがなかったが1以上の出来ばえと聞き鑑賞した。観て良かったと感じており、さらなる続編を期待したい。
2025/01/18「グランメゾン・パリ」☆☆☆★
グランメゾン東京を三ツ星レストランにした尾花夏樹がミシェランガイドの本場パリで新店舗グランメゾンパリで三ツ星を獲得するまでを描いている。本作では2020年にパリでアジア人初の三ツ星を獲得したRestaurant KEI」の小林圭シェフが料理監修を務め、物語だけでなく料理でも楽しめる作品となっている。出演は木村拓哉をはじめとする「グランメゾン東京」のレギュラー陣に加えてオク・テギョン、正門良親が新たに参加している。
2025/01/19「室町無頼」☆☆☆★
直木賞を受賞した垣根涼介の小説「室町無頼」の映画化。初めて武士階級として一揆を起こした蓮田兵衛を主人公にした作品。飢えと疫病に苦しむ京の都で民を救うために立ち上がった浪人蓮田兵衛とかつての友人で今は市中取締役の道賢を軸に徳政一揆を描いている。兵衛に大泉洋、道賢に堤真一、松本若菜、長尾謙社、柄本明、北村一輝らが脇を固めている。応仁の乱以前の初期室町時代を背景にした時代劇は少ないので興味深く楽しめた。
2025/01/24「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」☆☆☆☆
第42回香港電影金像奬最多6部門を受賞した話題作。本作のもう1つの話題はトニー・レオンとアンディ・ラウが「インファナル・アフェア」以来の20年ぶりの競演である。香港の黄金バブル時代に無一文から100億香港ドルを稼ぎ出した詐欺師にトニー・レオン、それを15年も追い続けた捜査官にアンディ・ラウが扮している。監督・脚本は「インファナル・アフェア」3部作のフェリクス・チョンが担当しただけに見ごたえのあるエンターテインメント大作が出来上がった。余談だが「ゴールドフィンガー」の題名で思い出すのは007シリーズの第3作。同名だが全く違う作品であるが、面白いヒット作という共通点が生まれた。
2025/01/26「満ち足りた家族」☆☆☆☆★
韓国の名匠ホ・ジノ監督の最新作はソル・ギョングとチャン・ドンゴン都のタッグを組んだヘルマン・コッホのベストセラーの3度目の映画化。主人公の兄弟の設定を弁護士と医師に代えて、原作より普通の幸せな家族としている。兄弟とその伴侶は月に1回の食事を高級レストランで楽しんでいる。そんな時に子供たちがホームレスに暴行を働き死なせてしまう。全く相容れない信念の違いの兄弟が導き出した結論は信じ難いものだった。ホ・ジノの演出力が傑作サスペンスを生み出した。
2025/01/28「雪の花 –ともに在りて–」☆☆☆☆
小泉堯史監督の最新作。江戸時代末期に疱瘡(天然痘)から人々を
救うため奮闘した無名の町医者・笠原良策とその妻・千穂の実話を描いた愛と感動の時代劇である。良策に松坂桃李、千穂に芳根京子、良策が師事する京都の蘭方医に役所広司、他に三浦貴大、増岡徹、山本学、吉岡秀隆が共演している。さすがに黒澤明の愛弟子だけに素晴らしい出来ばえの作品に仕上げている。