ストーリー
北京での朝、北京へ帰り大成功している除振華の元へ電話が来た、日本へ留学した仲間から、八百春が倒産しそうだと。
除振華は、さっそく留学生仲間へ連絡を取り合った。
翌日に載るある新聞の記事が全てを変えてしまう、
その新聞の記事の見出しはこう。
『中国留学生の宿消える』
今まで必死に五十嵐が中国人留学生の為に奔走してきたことを紹介する記事だった、そして八百春が倒産の危機に瀕していることも。
翌日から八百春の鳴り止まない電話は今や借金の催促ではなく、寄付の申し出の電話へと変わった。
そしてこの事は中国でもニュースとして取り上げられていたのだ。
五十嵐の元へ中国からある一本の電話が入る、その電話の主の名は除振華。
五十嵐は除が中国に戻り、大成功を収めたことを知る。
五十嵐の窮状を知った除が五十嵐に援助を申し出るのだった。
バイトが見つからないと言っていた屈や劉も八百屋を手伝いながら助ける会で働くことになり、全てが順調に動き出す。
屈の親友や、寮を出る費用も寄付のおかげで何とかなった。
そしてバイトの咲はいつしか屈に恋心を抱くようになるのだった。
しかし咲はその想いを屈に告げることがどうしても出来なかった。
二人はあまりにも違い過ぎた。
そんなところへあるニュースが飛び込んでくる、五十嵐が中国へ招かれたのだ。
表彰される為に。
咲と屈は、に一緒について行くことにするのだった。
上海国際空港に降り立った五十嵐は中国という国の発展ぶりに思わず目を見張り、感嘆する。
そして降り立った空港で出迎えてくれたのは、立派に出世を果たした除振華だった。
そして表彰式。
そこには中国の有力者たち。
それらは五十嵐が支援した、かつて日本で苦学生だった留学生たちであった。
五十嵐は胸が熱くなるのを抑えきれなかった。
再会を喜び、抱き合う劉と屈、そして咲、五十嵐と除もそれに同行している。
日本へ旅立つ北京空港。
そこには屈の両親の姿があった。
屈は五十嵐に、僕のお父さんです、と父親を紹介する。
そして父親には五十嵐を、僕の日本のお父さんです、と紹介するのだった。
屈の両親は五十嵐に丁重に礼を言い、咲を見て、そして彼女はお前の将来のお嫁さんか? と冷やかす。
赤面してしまう咲だった。
もしも人生に幸運というものがあるとしたら、それは忘れ難い友人を得ることなのではないでしょうか?
しかもその幸運が特別なものであるならば、たとえ互いがどのような道を歩むことになろうとも、どんなに遠くにいようとも、友情の距離が遠くなることはありません。
私たちの前には大人になるにつれ社会という厳しい現実が立ちはだかり、否応なしに自分を防御する為の壁を何重にも築きます。しかしそんな壁をいとも簡単に打ち砕く友情がそこには存在しました。そのきっかけは何でもないこと。
リトルヘルプの精神。
「リトルヘルプ」それは、ちょっと助けてくれないかという意味。
キャッチボールで後ろへそらしてしまったボールを誰かに拾って貰ったり
電車で席を譲って貰ったり、その程度のこと。
その程度のことが後に大きな奇跡を生み出します。
この物語は、五十嵐勝氏の取材に基づき構成しました。
最近、自分ファーストに成って来た世界中の人々に、日本人と中国人の間に
心からの、友情、交流、が今でも有る事を伝えられたらと思います。
リトルヘルプ・優しい心が、世界中に広がります様に。