第二章 出会い ⑨ 友人・北村徳夫Ⅴ 勝がまたビールを2本運んできて、早速栓を抜いて、北村のグラスを満たした。 「誰かが言ってたな」 北村が遠くを見るような目をして言った。 その目がうるんでいた。 「歴史的に言 […]
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⑧友人・北村徳夫Ⅳ
第二章 出会い ⑧ 友人・北村徳夫Ⅳ 「それで、その娘さんは・・・・・」 「中国名は王麗華(ワンリホウ、姉夫婦につけてもらった名は葉子・・ ハッパの子と書く」 「で、葉子さんは。日本に戻ったのか」 「いや、迷っ […]
⑦友人・北村徳夫Ⅲ
第二章 出会い ⑦ 友人・北村徳夫Ⅲ 北村がじっと勝の顔を見つめた。 勝は驚いた。 なぜなら、北村の細い目から涙が一筋二筋と流れ落ちたからだ。 「おい、北さん、今日は悪酔いしてんじゃないか?」 「このビールは、 […]
⑥友人・北村徳夫Ⅱ
第二章 出会い ⑥ 友人・北村徳夫Ⅱ 「イガちゃん、ちゃんと聞いてんのかい?」 ひどく機嫌をそこねているらしい北村の声が、ぼんやりしていた勝を衝いてきた。 「あ、あ、・・・・聞いているよ」 「漢民族は中国語でハ […]
⑤友人・北村徳夫Ⅰ
第二章 出会い ⑤友人・北村徳夫Ⅰ その夜、9時過ぎに店を片づけ終わってホット一息入れて居る所に、 例の少林寺拳法をやる北村徳夫がほろ酔い機嫌で訪ねてきた。 商売もほどほどにいっているし、あまり心配ごとのない […]
④再会
第二章 出会い ④ 再会 次の日の同じような時間に、あの留学たちが現れた。 三人かと思ったら一人増えている。 ~ あれ?味をしめて、仲間を増やしやがった。 そう思った、勝だったが、決して不快に思ったわけではない […]
③八百春の店でⅡ
第二章 出会い ③八百春の店でⅡ 翌日、夕方の混雑する時間より、やや早めに、店頭に留学生が現れた。店の奥の事務机にいた勝は、チラと見たが、そのまま知らん ぷりをして伝票整理をしていた。 「スミマセン、コノバナナ […]
②八百春の店でⅠ
第二章 出会い ②八百春の店でⅠ 年が明けると、春が来るのは早かった。 “八百春”ははやっていた。だが、八百ものに限らないが、食料品をあつかう商売というものは利益は薄い。薄利多売が原則である。 1円2円といった […]
①船橋駅バス停での出来事
第二章 出会い ①船橋駅バス停での出来事 五十嵐勝と中国人留学生とのつきあいは実はもう一昔にさかのぼる。 そのきっかけは昭和56年(1981年)の12月、年の暮れだった。 JR総武線の船橋駅前北口の午後9時過ぎは、 […]